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臥頭狂一のエロ小説ブログ。※18歳未満閲覧禁止。

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赤いバラの咲く庭で 第一話 (12枚)

 ぼくには友だちがいない。でも、さびしくなんかない。ぼくには、世界中のだれよりもきれいなママがいるから。
 ママさえいれば、友だちなんか、いらない。ママさえいれば、ほかになにもいらない。だから……。
 ぼくだけを見つめてよ、ママ。
 ぼくだけを愛してよ、ママ。


  第二話  第三話  第四話  第五話   第六話  第七話  第八話  第九話  第十話  最終話



 ぼくには友だちがいない。小さなころから、友だちというものがいたことがなかった。でも、さびしくなんかない。ぼくには、世界中のだれよりもきれいなママがいるから……。

 ぼくとママは、田舎町からさらに外れた森の近くに住んでいる。家はとても古い洋館で、裏には森の木にかこまれた大きな沼がある。町のやつらからは「おばけやしき」とか呼ばれてるらしい。ママは赤いバラが好きで、庭にはいつもたくさんのバラが咲き乱れていた。
 パパはいない。なんでも進ちゅう軍というアメリカ軍のえらい人だったらしいけれど、あまりよくは知らない。パパのことを聞くと、ママは悲しそうな、つらそうな顔をする。ぼくはママに無理をさせてまで聞こうとは思わなかった。だから、生きているのかどうかも知らない。
 それでもママは、たまにパパの話をしてくれる。ママにいわせると、ぼくはパパに似ているらしかった。おもかげがあるっていう。パパの顔を知っているわけじゃないけれど、ママがいうからそうなんだろうと思う。
 ぼくはハーフっていうらしい。ママや、学校の先生やほかの子とちがって、かみの毛が黒くない。すこし茶色がかっていた。目もすこし茶色かもしれない。はだの色もみんなより白っぽい。きっとこれもパパに似たんだろう。
 みんながぼくと話さないのは、これが原因なんだと思う。べつにいじめられたりはしないけれど、みんなぼくと目を合わさない。かげてひそひそ「異人の子」とか言ってる声が聞こえたりもする。
 先生だっておなじだ。よその子の親と話しながら、ぼくを横目で見て「パンパンの子」とかいってるのを聞いたことがある。意味はわからなかったけれど、悪口だってことはわかった。おとなもこどもも、ぼくを見る目はみんなおんなじだから。
 六年もこんなことがつづくと、ぼくはもう慣れっこになっていた。田舎の分校だから、先生もクラスも変わることなくずっといっしょだ。ぼくは学校に通うようになってから、ずっと無視されつづけてきた。でも、べつに平気だ。ほかの子はみんな読み書きもまともにできない低脳ぞろいだし、先生だってこんな田舎づとめしかできない無能な大人だってことがわかっていたから。
 なにより、ぼくにはママがいた。世界でいちばんきれいなママ。悪くいうやつらもいるみたいだけど、きっとママがすごくきれいだからねたんでるんだ。だってほかの子のお母さんは、みんなそろってぶさいくだ。
 ママはすらっとしてて、足も長い。髪も長くてふわふわしてる。ほかの子のお母さんよりずっとずっと若いし、着てる服だってドレスみたいなのばかりだ。映画に出てくる女優さんみたいにかっこよかった。でも、笑うとこどもみたいにきゃっ、きゃっ、てはしゃぐ。じょう談をいってふざけあってるときなんか、ママがおとなだってことを忘れそうになる。
 ママは映画が好きだ。それも日本のじゃなく、外国の映画――洋画っていうらしい――に目がなくて、よくふたりで街の映画館まで観にいった。ママはオードリー・ヘプバーンがお気に入りだった。ヘプバーンの映画はほとんど観たと思う。とくに『ティファニーで朝食を』なんて劇場で観た回数を忘れてしまうほどだ。何度も観ているのに、ママは同じところで笑い、同じところで泣いた。
 ぼくにはまだ難しいのか、正直この映画の良さがわからない。いや、この映画だけじゃない。ほかの洋画もほとんどおもしろいとは思えなかった。これならいつもテレビでやってる、『忍者部隊月光』とかのほうがおもしろい。
 それでも、ママと映画を観に出かけるのは楽しかった。映画を観にいくっていうのが、おとなっぽく感じたし、なによりママとふたりきりでデートみたいだったから。映画館でもスクリーンを見ているより、ころころ変わるママの顔を見ているほうが多い。物語に夢中になって、しんけんなまなざしで見つめているママはすてきだった。くすくす笑うママは少女みたいに可愛かったし、泣くのをこらえている顔にどきどきしてしまうこともあった。
 映画を観終わったあとはきっ茶店に寄るのがお決まりだった。まわりはアベックばかりで、こどもはぼくしかいない。でもママはそんなこと気にしちゃいない。今しがた観た映画のことを、あれこれと楽しそうにぼくに語りかける。まるでほんもののデートみたいだ。ママは店のなかにいるどの女の人よりきれいで、ぼくはひそかに鼻を高くしていた。
 ぼくはママが大好きだ。いつだってふたりきりでいたい。ふたりだけでひっそりと、赤いバラにかこまれた洋館で暮らしたかった。朝から晩まで、ママとふたりだけで笑いながら。でも、ぼくのそんな小さな願いは叶えられることがなかった。
 ママのもとには、ときどき大人の男の人がやってくる。きまって夜だ。ぼくはそれがいやでたまらなかった。
 ぼくはいつもママと同じベッドで寝ている。お風呂あがりのママは、シャンプーのいい香りがする。ぼくはその匂いがとても好きだった。ときどきママは、「パパに似てきたね、丈」といってぼくをだきしめて眠る。そんな日は胸がどくん、どくんってなって、なかなかねつけないのだけれど、ぜんぜんいやじゃなかった。ママのやわらかいおっぱいに顔をうずめていると、どきどきするけれど、しだいになんだか安心してくる。あたたかくて、やさしい感じ。そうやって眠りにつくのは、たまらなく気持ちよかった。
 けれど男の人がやってくる日には、自分の部屋でひとりで眠らなければならない。なんだか悲しくて、そしてくやしかった。ママを取られたような気分になった。ママは、ぼくだけのママでいてほしかった。
 やってくる男の人はときどき顔が変わった。変わると、もう前の人は二度と姿を見せなくなった。ぼくがおぼえているだけで、四人は変わったと思う。いちばん古い記おくは、頭のはげたおじさんだった。
 ひどいだみ声で、「やあやあ丈くん、おかしを持ってきたよ」ってにこにこしながら、山ほどおやつをお土産にくれる人だった。
 その次はこわい顔をした人だったけど、よくおぼえていない。はずかしいけれど、その人の顔を見て泣いてしまったような気もする。こわい顔をしたその人はすぐ見なくなった。
 三人目は去年までうちに出入りしていた男だ。こいつは忘れられない。だってぼくをなぐりつけたんだから。それまでのおじさんたちとちがい、若い男だった。白いスーツなんか着て、気どったいけすかないやつだった。去年のことだから、よくおぼえてる。
 こいつも今までのおじさんたちと同じく、ママに夢中みたいだった。ぴかぴかの白いダットサンで、三日と開けずにやってきた。ママが赤いバラが好きだということを知って、いつも大きな花束をかかえてた。ひん曲がったキツネみたいな顔をしてるくせに、きざったらしいいやなやつだ。
 その日はたまたま、ママが買い物に出かけていてまだ帰っていなかったんだ。まだ日がしずむ前だっていうのに、待ちきれなかったんだろう。キツネ顔は鼻の下をのばしてやってきた。ママがいないとわかると、とたんに不きげんな顔になったよ。ぼくが目の前にいるというのに、ママの悪口をいいはじめたんだ。
「まったく、子持ちの年増を相手してやってるのに、待たせやがって」
「おれを誰だと思ってるんだ、あの女狐」
 もちろんぼくに向かっていったんじゃない。ひとりごとだ。でも、ぼくにははっきり聞こえた。ぼくはびっくりしたよ。ぼくのママはだれよりきれいで、だれよりも可愛らしい。世界一の女のひとだ。そのママに、そんなことをいうやつがいたなんて。
 ぼうぜんとしているうちに、ママは帰ってきた。するとどうだ。男の態度はいっぺんに変わった。気持ち悪いくらい笑顔をうかべて、車に積んでいた花束をさしだしたんだ。
「芙美(ふみ)さん。貴女に逢いたくて、逢いたくて……つい早く来てしまいました」
 下手な演技だった。でもママは、くすくす笑いながらうれしそうに花束を受け取ったんだ。ぼくは許せなかった! ママをぶじょくしておきながら、その手のひらの返しような態度に!
 ぼくはママから花束をうばいとると、地面にたたきつけた。
「ママ! こんなやつ、家に入れちゃ、だめだよ!」
 キツネ顔をにらみつけようとしたしゅん間、ぼくもまた、花束とおなじく地面にたたきつけられていた。なぐられた、と気づいたのは、しばらくしてからだ。ぼくは泣いたりなんかしなかった。じんじんと熱くなりだしたほっぺたをおさえながら、それでも男をにらみつけていた。
 キツネ顔は、しまった、という顔をして、あわててママを見た。ママはもちろんほほ笑んでなんかいなかった。ひどく冷たい目をしてた。それはぼくが見ても、ぞっとするような、かわいたひとみだった。あんな顔をしたママを見るのははじめてだった。
 ママはぼくにも、そして男にも何もいわずに家のなかに入っていった。男は「待ってください」とかなんとか言いながら、あわててあとを追った。
 そのあと、ママとキツネ顔がどんな話をしたか知らない。ただ、その日いらい、あいつの顔は見ていない。たぶん、ママにふられたんだろう。とうぜんだ。ママはだれよりもぼくのことを愛してくれているんだから。ぼくをなぐるようなやつを許すはずがない。
 ママは口ぐせのようにいうんだ。
「愛してるわ、丈。世界中のだれよりも」
 映画に出てくる恋人どうしのように、ぼくもこたえる。
「ぼくも、ママをだれよりも、愛してるよ」
 そうすると、ぼくのほっぺにキスしてくれる。ちょっぴり照れくさいけれど、ぼくはそんなあまったるい時間が大好きだった。ずっと、永遠につづけばいいと思った。


 キツネ顔が来なくなって、しばらくはぼくとママのふたりきりだった。ぼくはうれしかった。毎日いっしょのベッドで眠ることができたし、ママはぼくをだきしめてくれる。ママのおっぱいに顔をおしつけると、ママはくすくすと笑う。
「まあ、丈は甘えんぼうさんね。ママのおっぱいが恋しいのかしら?」
 ぼくはすごくはずかしかったけれど、こくりとうなずいた。ベッドのなかだから、暗くて見えなかっただろうけれど、きっと顔はまっ赤だったと思う。ママはそっとぼくのおでこに口づけしてから、パジャマのえりをほどいた。うす暗かったけれど、それでもママのおっぱいがはっきり見えた。
 とてもきれいだった。洋画とかでたまに見てしまう、女優のおっぱいなんかよりも、ずっと。大きいおわんみたいで、ふんわりしてて、すごくやわらかそうだった。
「丈が赤ちゃんのころは、毎日お乳をあげてたのよ」
 もちろんおぼえてない。けれど、サクランボみたいなおっぱいの先を見ていると、ぼくは吸ってみたくてたまらなくなっていた。のどがかわいたような気がして、思わずごくん、とつばを飲みこむ。
「うふふ、ママのおっぱい、ちゅっちゅしたくなっちゃった?」
 ママはふざけていったのかもしれない。でもぼくは、引きよせらせれるようにママの乳首に口をつけていた。
「あん、もう……甘えんぼ」
 ママはぼくの髪をなでてくれた。やさしい手だった。
「ふふっ、いくら吸っても、おっぱい、出ないのよ?」
 でも、あまく感じた。ずっと、吸っていたかった。ぼくは夢中になってママのおっぱいを吸った。ママの体温が、ここちよかった。
「丈……愛してるわ。ママは、丈だけを、愛してる……」
 ぼくもだよ、ママ。


 次回(第二話)

テーマ:18禁・官能小説 - ジャンル:アダルト

  1. 2010/02/02(火) 17:17:17|
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Author:臥頭狂一
(がとうきょういち)
 日々、頭痛に悩まされながら官能小説を書いています。
 いろいろなジャンルに手を出していくつもりです。よろしければ読んでいってください。
 感想、お気づきの点など、コメント、メールでいただけると励みになります。よろしくお願いします。

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