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臥頭狂一のエロ小説ブログ。※18歳未満閲覧禁止。

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恣(ほしいまま) ~共有される幼な妻~ 第六話 (23枚)


 セルダ家の男たちの獣欲は底知れない。共有する幼な妻の魅力に溺れ、飽くどころかますます荒淫を重ねていく。
 休みなく弄ばれる毎日。キーラはついに倒れてしまう。心身ともに限界に近かった。
 救いは末弟のみ。少女は年下のエルナンが愛しかった。何もかも捧げたいと思うほどに……。
 ふたりの想いをよそに、驚くべき報が長兄の口から語られる。
 ――ヘルマン死去。
 家長を失ったセルダ家は、キーラはどうなってしまうのだろうか……。




「ごめんね、エルナン……」
 ベッドに横たわる少女の顔色は良くない。窓から射す陽光を浴びてなお蒼かった。前髪の間からのぞく額には、玉の汗が浮いている。伏した睫毛の下に見えるとび色の瞳も、平素の鮮やかさを著しく欠いていた。
「気にしなくていいってば、キーラ。今日はおいらにまかせて、夕方まで休んでなよ」
 エルナンがにっこりと微笑んでみせる。血色のいい肌とふっくらとした頬は、儚げな少女と対照的だった。
「ありがとう……」
 感謝の声が弱々しい。吐く息すら不規則で、衰弱は少年から見ても明らかだった。目を開けているだけでも辛いのか、睫毛が小刻みに上下している。
 少女を見下ろす黒い瞳が、気遣わしげに揺れる。
 いくら心配したところで、してあげられることはなかった。傍に居ることで眠りを妨げるかもしれない。壁掛けの時計は正午過ぎを指している。家事などの雑務もこなさなくてはならない。
 エルナンはそっと寝室を後にした。


 頼りになる弟分が去ってから後も、キーラはしばらく眠りにつくことができなかった。瞼は重く、頭のあちこちがずきずきと痛い。疲労が度を過ぎているのだ。睡眠の不足も著しい。いま立ち上がって歩けといわれても、まったく自信がなかった。
 室内だというのに、頬肌が冷たい。毛布の温もりがありがたかった。
 外は凍えるほどの寒さだった。発見が遅れていたら、危なかったかもしれない。太陽が姿を現していたのは、不幸中の幸いといえる。
 井戸の横に倒れているところを、買い出しから帰ったエルナンが見つけてくれたのだ。キーラに昏倒したときの記憶はない。気づいたら、少年に抱きかかえられていた。それほど時間は経っていなかったはずだが、ひどく身体が冷えていたという。
 荒淫がたたっているのは間違いない。
 昼は家事や畑しごとに追われ、夕食の後は疲れを知らぬ男たちに夜通し責められるのだ。線の細いキーラでなくとも、保つわけがない。
 セルダ家の男たちは共有妻に飽きるということがなかった。常に欲求を持て余す若き兄弟は当然としても、週の大半を独占できる立場にあるヘルマンですら、美貌の少女にすっかり魅了されていた。
 日ごと美しくなっていくのだから、無理はないのかもしれない。
 発育盛り、という理由だけではない。男たちに抱かれることによって、キーラは急速に女としての華を開きつつあった。
 すべすべの肌をまんべんなく弄ばれ、気を失うまで貫かれては白液を注がれる。毎日毎夜男根と精液を与えられ、少女は鳴くようになった。女の声で喘ぐようになった。まだあどけない顔で、涙をこぼしながらも熱い息を吐く。無骨な指に、熱い舌に、硬い肉棒に、そして男の高ぶりに反応をしはじめる。
 儚げな表情が、欲情を誘う。うつむきがちな視線は、かえって艶かしい。幼な妻の仕種ひとつひとつから、色香が漂う。それでいて乳臭さは失せていない。綺麗に組まれた三つ編みが似合って可愛らしい。
 男たちが夢中にならぬわけがなかった。もっと鳴かせたい。虐めたい。服従させたい。なめらかな白肌をしゃぶり尽くしたい。けだものの欲望に果てはない。
 少しでも多く、長く、少女を抱きたい。兄も弟も、おそらくは父でさえも同じだった。できることなら、独り占めにしたい。自分だけが鳴かせたい。共有ではなく、占有の妻にしたい。
 願望はもちろん、声になることはない。通るはずがない要求だった。口に出してみたところで、他の者が納得するはずがない。諍いを生むだけだ。
 満たされぬ想いは、少女の未熟な肉体へ向けられている。
 イケルもファビオも、夫となる割り当て日の夜には翌日の仕事を忘れた。睡眠不足を気にしてはいられない。一滴でも多く精液を注ぎ、朝まででも交わる。幼い肢体を貪ることしか考えられなかった。
 少女が憔悴した顔を見せても、休ませようなどとは思いもしない。前日に疲労させた者を恨むことはあっても、自分の割り当て日を犠牲にしてまで休息を与える気はさらさらない。あくまでも共有物であり、わずかでも多く使用しなければ損という考え方をしているのだ。いたわる気持ちなど生まれようがなかった。
 父、ヘルマンの横槍が入ることはあるが、それもキーラの身体を気づかってのことではなく、息子への醜い嫉妬からにすぎない。
 『夜のおつとめ』は日を追うごとに激しさを増すばかりで、少女には休む間もない。今まで倒れなかったことが不思議なくらいだった。
 キーラはゆっくりと息を吐いた。呼吸が落ち着いてきようだ。頭痛はまだ退いてくれない。額を押さえてみるも、効果はなかった。脈動が、かすかに掌に伝わってくる。
 瞼の裏に、昨夜の光景が再生されはじめた。
 目の前にいるのはイケルだ。昨夜の夫は、短躯の長男だった。両肩をものすごい力で掴まれ、頬からくちびるまで、べろべろと舐めまわされている。唾液の臭いで顔をしかめそうになり、堪えるだけで涙がこぼれた。不快に湿った舌を押しつけている本人は、にやにやと目尻に皺を寄せて嬉しそうだ。
 イケルは舌で味わうことを好む。白い肌によだれの路をつくり、紅いくちびるを舐め、小さな舌を吸い、吸わせることで悦びを得る。上から跨ったときには、必ずといっていいほど口を吸いながら射精した。舐めることで興奮を高める性質なのだ。
 その性癖を踏まえても、昨日のイケルは異常だった。思い返すだけで、肌が粟立ちそうだ。キーラの背すじに冷たいものが走る。
 舌での愛撫が、延々と続いたのだった。
 キーラは身体の隅々まで舐めまわされた。まだ薄い乳や尻、かすかに膨らみのある恥丘はもちろん、足指の股にいたるまで、ざらついた舌が這いずりまわる。悪寒は絶え間なくぞわぞわと背を襲い、幾度か悲鳴を放ってしまっていた。
 しかも、ひととおり巡回しただけでは終わらなかった。分厚い舌は、ある一部分を執拗に責めつづけたのだ。
 少女の、後ろの穴を。
 キーラが哀願を繰り返しても無駄だった。聞き入れられるどころか、涙まじりの声を愉しんでさえいた。小ぶりな尻の谷間を湿らす鼻息は乱れ、舌はますます活発に動く。イケルはよだれを垂らし垂らし、音をたてて舐めつづけた。
 どのくらいの時間、舌で虐められていたのかわからない。意識が遠ざかったのは一度や二度ではなかった。不快さに耐えきれずに身をよじると、後ろで低い笑い声が起こる。すぼまりを舌先でつつかれるたびに、嫌悪に気が狂いそうになった。
 ようやく解放されたときには、息も絶え絶えといったところだった。消耗しきっていて、うつ伏せの姿勢から動くこともできない。キーラは疲労の極みにいた。
 短躯がそのまま跨ってきても、少女は身じろぎひとつしなかった。男の腰が振りたてられ、膣内に射精されても、ただ乱れた息を漏らすばかりだ。反応を見せることさえない。
 人形同然の幼な妻を、イケルはそれでも夜明け近くまで犯しつづけた。深々と割れ目の奥まで挿しこんで吐精すること三度、それだけでは飽き足らず、半ば虚脱状態にある少女の口を使った。キーラの奉仕に期待できないと悟るや、含ませたままみずから扱き、口内にたっぷりと注ぎこんだ。
 ヘルマンに制止されていなかったら、皆が起きるまで犯されていたいことだろう。
(もう、いや……おしりを舐められるのは、いや……)
 思い起こしたくなくとも、生ぬるく濡れた舌の感触は、不快な記憶として下半身に深く浸透してしまっていた。べろりと舐めあげられることを考えると、身体が硬直を覚える。次を思うと、それだけで頭が割れそうに痛んだ。身体が拒んでいるのだ。
 だが、抗うことはできない。望まれればどんな姿態でもとらねばならない。痴態を演じねばならない。要求を受け容れることしか、キーラには許されていなかった。
(このまま、弱って死んじゃうのかな……)
 頬が熱い。
 涙が流れている、と気づいたのはしばらく経ってからだった。
 セルダ家に嫁いでから半年あまり。つらいことの連続だったが、耐えてきたつもりだった。日中の労働も、夫たちの夜の相手も、それが自分の役割だといいきかせて、従順に仕えてきた。
 苦しいのは自分だけではないことを、キーラは知っている。妻という身分が奴隷に等しいのも、女が物品にすぎないのもよく理解していた。避けられない運命なのだ。鉱山で働く男に身をまかせ、かしずいて尽くす以外に女が生きるすべはない。不満を口にできる立場ではなかった。
 けれども、もう限界だった。
 倒れたことが証明している。いまのままでは、弱っていくばかりだ。キーラのきゃしゃな身体では、三人ぶんの底知れぬ獣欲を受け止めきれない。しかも、休養をとるどころか満足な眠りすら与えられないのだ。十三歳の少女には厳しすぎる毎日だった。
(娼婦になっていたほうが、幸せ、だったのかな……)
 外の世界を、キーラは何も知らない。
 セルダ家に嫁いでいなかったら都市部の娼館に売られる運命だった、と聞かされただけだ。この町から出たことがないキーラには、生まれ育った町を離れて生活するということが、まるで想像がつかない。十三歳の少女にとって、鉱山の町が世界のすべてだった。
 娼婦ということばにも馴染みがなかった。男に身体を売ることで糧を得る、ということしか知らない。ここでの生活と大して変わらない気もする。
 考えてみてもしかたがなかった。現実はセルダ家の共有妻なのだし、娼婦になりたいと願ったところでヘルマンたちが離すわけもない。夢想するだけ虚しかった。
 手の甲を、瞼の上に置く。あふれつづける涙が熱い。
 いまキーラに許されているのは、泣きながら眠りにつくことだけだった。



 夢は見なかったが、さほど深い眠りだったとは思えない。意識こそなかったものの、まどろみに近かった。全身を包むけだるさが妙に心地よい。
 はっきりと目が醒めたのは、胸に重みと温もりを覚えたためだった。乳房のあたりが、熱を帯びている。
 睫毛の上にできた涙の膜を指で拭い、キーラはゆっくりと瞼を開いた。ぼやけた瞳に陽射しが眩しい。日が暮れるまで、まだいくらか時間があるようだ。
 少し首を起こすと、重みの正体が視界に入った。
 あどけない少年の丸顔が、こちらを向いている。安らいだ表情で、よく眠っていた。
 鼻息が肌にくすぐったい。ブラウスの途中までボタンが外れ、胸がはだけていた。小さなふくらみの片方が剥かれているが、冷えてはいない。ふくよかな頬と掌が置かれて温かかった。乳首は透明な粘液に囲まれ、厚ぼったい唇の端と糸で繋がっている。
 眠っている三つ編みの少女を見て、つい悪戯したくなったのだろう。エルナンは幼くして母を亡くしているから、乳が恋しくなったのかもしれない。吸っているうちに寝てしまったのだ。赤ちゃんみたい、とキーラは思った。
 丸顔の少年の頭をそっと撫でる。口もとには笑みが浮かんでいた。顔色こそまだ蒼さが残ってはいるが、幾分か元気を取り戻したようだ。呼吸も平素の穏やかさに近い。
「ふふ……おっぱい、おいしかった……?」
 ぷくぷくと丸い頬を、指先でつつく。まったく反応がない。繰り返してみても同じだった。よっぽど疲れているのか、寝息にも変化がなかった。
 疲れていて当然だった。倒れたキーラのぶんまで、しごとをこなしたのだ。いかに聡く手際がいいとはいっても、肉体は十一歳の子供には違いない。
 エルナンには日ごろから手伝ってもらっている。平気な顔をしていても、負担は少なくなかったのかもしれない。少女の端整な顔から微笑みが消え、長い睫毛は伏せられた。褐色の頬を、慈しむように細い指が撫でる。
 少年の存在がありがたかった。
 家事の分担を軽くしてくれるだけではない。キーラが暗い顔をしているときには必ず慰めてくれた。明るい笑顔を見せて元気づけてくれるのだ。聞き役に徹して、愚痴をきいてくれたりもする。二歳年下とは思えない心配りだった。
 エルナンに救われたことは数えきれない。今もそうだ。こうして傍にいてくれるだけで、沈んだ気分が軽くなっている。野獣のごとき男の群れにあって、唯一の心の拠りどころといえた。
「いつも、ありがと……」
 また、涙があふれてきそうだった。胸の奥が熱い。
 エルナンが愛しかった。少女は茶色くちぢれた頭を両腕にからめ、みずから乳房へと抱き寄せる。好きなだけ吸わせてあげたかった。できることなら、すべてを捧げたかった。少年の望むことなら、どんなことでもしてあげたかった。
「ん、うう……?」
 さすがに息苦しかったのか、乳首を押しつけられた唇からうめきがこぼれる。キーラが腕の力を抜くのと、少年の目覚めは同時だった。
「あ……キーラ……?」
 エルナンが寝ぼけた声を出し、ふたりは笑顔を交わす。口の端から垂れたよだれを、白い指先が拭った。首には細い腕が巻かれたままだ。
 どちらからともなく、唇が近づく。
 少年の鼻からは熱い息が漏れ出している。キーラは白頬に湿った息を浴びながら目を閉じた。うっとりと、年下の恋人の口づけを待つ。
 だが、そんな甘いひとときさえ、ふたりには許されなかった。
 荒々しく扉を開ける音が響き、次いでどかどかと屋内に重い足音が続いたのだ。それもひとりの者ではない。弟と共有妻を呼ぶ、次兄の怒鳴り声が聞こえる。
 鉱山労働者が一日の仕事を終えるには早すぎる時間だったが、男たちの帰宅は間違いない。キーラとエルナンは慌てて身体を離した。ブラウスのボタンを留める少女の指が、焦りに乱れる。肌を晒しているのを見られでもしたら、大変なことになる。
 寝室のドアが蹴り開けられたとき、エルナンはキーラの横たわるベッドから数歩の位置に退いていた。はじめに飛びこんできたのはイケルだったが、何も見破られてはいないはずだ。
「あ、あにき……キーラが倒れちゃって……」
 いくばかりか取り繕うような声色ではあったかもしれないが、やましさを連想させるところはない。エルナンにとって、兄たちの帰宅が早いことの疑問より、キーラが倒れたことのほうが重要なのだ。寝室にいる理由は、いいわけではなく説明だった。少年の態度に不審なところはほとんどない。
 しかし粗暴な長男に道理は通じなかった。
 さきほどまでやさしく撫でられていた頬を、鉄球のごとき拳が容赦なく襲う。痩せた小さな身体は、勢いよく床へと叩きつけられた。
「うるせえ。それどころじゃあ、ねえんだ」
 イケルの声が、いつもより高い。落ち着かないのか、弟を殴った拳をもう片方の手で撫でまわしていた。妙に興奮している様子だった。
 後から来たファビオも同様だ。殴り倒されて動けないエルナンに一瞥をくれたものの、ふだんなら浮かべるはずの薄笑いがない。兄とキーラを交互に見つめ、やがてうつむいた。口を開いていいのかどうか、迷っているようにも見える。
「う、うう……」
 起き上がろうとたエルナンだが、すぐ膝をついた。腰に力が入らないのだ。
 町いちばんの豪腕を誇るイケルの一撃を受けたのだ。十一歳の少年に耐えられるわけがない。すでに頬は倍も膨れ、口の端からは大量の血があふれ出していた。歯も何本か折れているかもしれない。
「え、エルナン……」
 顔を蒼白にしたキーラが、ベッドから起き上がろうとする。表情を失っていた。
 止めたのは身を案じられた少年自身だった。片手を上げて、平気だと頷いてみせる。強がっているわけではなく、大切な少女の身体を思ってのことだろう。
「なにが、あった、のさ……」
 口中の血と頬の腫れでうまく喋ることができないのだろう。兄への問いは、より近い位置にいるキーラにも聞き取りにくかった。
 いつものファビオなら嘲笑していたかもしれない。しかし少年の眼光は鋭く、強面(こわもて)で知られる長兄に一歩も退くところがなかった。気を失ってもおかしくない状態にありながら、気迫に満ちている。
「親父が……」
 イケルに気圧された様子はない。にもかかわらず口ごもったのは、事態が容易ならざるものであることを示していた。痩躯の次男などはそわそわと肩を揺すっていて、びくついているようでもある。
「親父が、死んだ」
 若干うわずった声ではあったが、重く響いた。
「え……?」
「マイトの暴発があったらしい。おまけに爆薬の量を間違えたのか、坑道が崩れちまった。岩に埋もれちゃ、助かるわけがねえ」
 今度はファビオだった。動揺は声に現れていて、ひどく口の動きが早い。なぜか頬が緩んでいた。他人の家の火事を見た後で興奮している子供を思わせる。
「坑道は塞がれて、死体も見れやしねえ。くたばったのは親父だけらしいが、無敵のヘルマンも最後にヘマしちまったってもんだ」
 場の空気も知らず、得意になってまくしたてる。
 エルナンは浅慮な次兄を冷ややかに見ていたが、キーラはおろおろと兄弟を見回していた。兄弟でもっとも父を敬っていのはイケルだ。怒りを爆発させ、愚かな弟を叩きのめすのではないかと不安げに目を細めている。
 だが、長男は意外にも腕力に訴えはしなかった。
 弟の広いとはいえない肩に、分厚い掌を置いただけだ。それだけでファビオの口は閉ざされ、顔は血の色を失っていく。
 殴るまでもないということだろうか。イケルの黒い顔に激情を抑えたところはない。憤ってさえいないのかもしれない。渇いているのか、しきりに唇を舐めている。
 長髪の次男がぶるぶると身体を震わせはじめた。兄へのおそれよりも、屈辱のほうが強いかもしれない。ごつごつした手が肩から退かれてからも、痩躯の揺れは止まらなかった。
 己の威を確認して落ち着いたのだろう。イケルが太い首を左右に倒し、こきこきと鳴らした。大きく深呼吸したのち、寝室の中の三人を見回す。
「おまえら、部屋から出ろ」
 命令は、弟たちふたりに向けられていた。
 その意味を、エルナンもファビオも即座に察する。声を荒げたのは末弟のほうだった。
「キーラは、倒れ、たんだ。せめて、今日くらい、は、休ませて、あげてよ」
 少年はいまだ立ち上がることができない。頬の腫れはさらに増して、口から流れ出す血も止まらない。口を開くのも苦痛が伴うはずだ。それでも少女を護ろうという意思は強く、黒い瞳は光を失ってはいなかった。
 少年らしい勇気ある行動はしかし、いまや父に変わって傲慢な独裁者になりつつあるイケルには通じない。鼻で笑われただけだった。
「ファビオ、そいつを連れてとっとと出て行け。もたつくんじゃねえ」
 一瞬、狂気の光を眼に宿した次兄だったが、舌打ちをひとつしただけで結局は兄に従った。荒々しい動作で弟に肩を貸し、引きずるようにして部屋を後にする。扉を叩きつけて閉めることだけが、ファビオにできた唯一の反抗だった。
 イケルはしばらく扉に顔を向けていた。足音が遠ざかるのを待ったのだろう。ため息をひとつ吐くと、キーラが身を縮めているベッドへと歩を進めた。すでに手はベルトのバックルを外しにかかっている。
「さあ、じっくり可愛がってやる」
 つぶれた鼻が近い。キーラは悲鳴を放ちそうになった。昨夜から今朝にかけての記憶が脳裡に甦ったのだ。肌は粟立ち、背に冷たいものが駆け巡る。逃げ出したかった。
「今日からは、おれだけだ。おれだけが、おまえのご主人様だ」
 べろり、と頬を舐められる。悪寒が身体中を這い回っても、拒むことはできない。避けたかったが、目を深く閉じて堪えた。
「これからは、おれだけに尽くせばいい。わかったな」
 逆らえるわけがなかった。セルダ家の王の座は、この男に移ったのだ。家長の命令は絶対だった。どんな嫌なことだろうと、従うしかない。どのように嬲ろうと、主人の自由だ。妻の立場は、しょせん奴隷と同じだった。死ぬまで逃れられない。
 生殺与奪の権を持つ所有者は、イケルになった。誠心誠意仕えるほかに、キーラに選択肢はない。
「はい……ご主人さま……かわい、がって、ください……」
 キーラはみずから舌を伸ばし、男の唇を舐めあげた。熱を持った舌が突き出されると、ちゅうちゅうと音を立てて吸った。流しこまれる唾液を、舌で巻き取るようにしてすする。従順さを、示さなければならない。
 太陽が沈みはじめている。
 伏せた睫毛に溜まった涙が、夕陽を浴びてきらきらと輝いていた。



 恣(ほしいまま) ~共有される幼な妻~ 第七話

テーマ:18禁・官能小説 - ジャンル:アダルト

  1. 2011/02/27(日) 14:14:14|
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臥頭狂一

Author:臥頭狂一
(がとうきょういち)
 日々、頭痛に悩まされながら官能小説を書いています。
 いろいろなジャンルに手を出していくつもりです。よろしければ読んでいってください。
 感想、お気づきの点など、コメント、メールでいただけると励みになります。よろしくお願いします。

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