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臥頭狂一のエロ小説ブログ。※18歳未満閲覧禁止。

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伊作と山姥(やまんば) 後編 (47枚)

 伊作は少女の白い肢体に酔いしれていきます。遅漏のために常に気を使わなければならなかった妻との交わりとは違う、本当の快感を得ようとしていました。
 はげしい高ぶりにこたえてくれる鈴。互いの高まりは、頂点へと向かいますが……。

 ロリ痴女 ホラー 昔ばなし




 太い喉が、板間に大きな音を響かせました。暗闇のなか、白い裸身が浮かび上がっています。ほっそりとした少女のからだは儚げで、まるでまぼろしのようです。きゃしゃで胸のふくらみも薄いというのに、伊作は欲情を覚えていました。
 すでに行灯の火は消えてしまっています。障子ごしのほのかな月明かりだけが、やさしく板間を照らしていました。
 肌襦袢を脱ぎ捨てた鈴は、無精ひげの目の前に佇んでいます。手を伸ばせば触れられる近さでした。男の目が、少女のつま先から貌までを何度も往復しています。
 白い貌に注がれた濁液は、伊作が懐から出した手拭いによって取り除かれていました。黒い前髪には乾いた跡が残っています。愛らしい少女を汚し、自分の証をつける悦び。伊作もまた、胸のなかで所有欲に似たものを生み出していました。
 ついさっき胸の内で妻への謝罪をしたばかりなのに、伊作は少女からいっときも目をはなすことができません。濁りひとつない漆黒の瞳に、心の臓を鷲づかみにされているような気さえしています。鈴が誘うように小袖を解いてゆくのに抗えず、伊作は引き寄せられるように乳色の肌へと膝をすすめていました。
「鈴……」
 大きく息を吐くと、伊作は鈴を抱き寄せました。岩のように固く太い両腕が、少女のほそい腰に巻かれています。なめらかな腹部が、無精ひげの頬に押しつけられていました。


 障子に浮かぶ影を見つめながら、老婆は太い腕を胸に組んでいます。かまどの上には大きな鍋が置かれ、炉には火こそついていないものの薪の用意ができていました。
――ええい、まだ跨ってもおらんのか。
 鬼婆はぴくぴくと深い皺に覆われたまぶたを動かしています。板間にふたりだけを残してから、すでに一刻(約二時間)あまりが経っていました。
 いままでに鈴を使って六人の男を手にかけてきましたが、まぐわうまでにこれほど時間のかかる男ははじめてです。このままでは、男が満足するまでに夜が明けてしまいそうでした。
 男が果てる回数だけなら五度を超えることもありました。放心して力が抜けるまでに二刻を要した男もいました。しかし、それに比べても遅すぎます。鈴の手練手管なら、少なく見積もっても二度は果てさせていてもいいころでした。
――まったく、とろくせえ男でや。いっそのこと踏み込んで腕の一本でも落してやろか。
 かまどの横に置いた長包丁を見つめます。研ぎ澄まされた刃が、あらたな血をもとめて妖しく銀光を放っていました。
――いやいや、いかん。冬前の最後の獲物じゃ。愉しまんと。
 山が雪に覆われれば、誰も足を踏み入れることはなくなります。季節からして、次に若い男を襲うのは雪が溶けてから、半年近くを待たなければなりませんでした。山姥は、ことし最後の獲物をじっくりと愉しむために辛抱することに決めました。
――焦らしてくれたぶん、たっぷりと泣き喚かせて、じっくり、じわじわと殺してやるだわ。


 雲が晴れたのでしょうか。障子越しにも月の光がつよくなり、ふたりはお互いの姿がよく見えるようになっています。
 少女の身体は背を下にして板間に横たわり、膝をたてて脚を大きくひらいています。縦に窪んだおへその下には、男の貌が埋まっていました。ごつごつした指が、つるりと白い恥丘を遠慮がちに弄っています。
――す、すげえ。なにも、生えてねえ、だか。
 当然のことですが、大人は男女とも秘部に陰毛を生やしています。伊作の妻ツネの股間もまた、黒々と濃い恥毛に覆われていました。伊作は妻をとても愛していたので、ツネ以外の秘所を見たことはありません。無毛のお股を目にするのも、はじめてのことでした。
 鈴の恥丘は、ほかの処と同じく雪のように白く、ぷっくりとなだらかな曲線を描いています。見るからに柔らかそうで、伊作はたまらず人差し指を乗せました。
――や、柔らけえっ……、それに……なんて、すべすべ、してんだ。
 間近で見ている男の熱い鼻息がかかり、少女の腰がぴくん、とわずかに跳ねました。太い指は大胆になってきて、なめらかな丘の下、閉じられて一本の筋になっている割れ目へと伸びてゆきます。
 傷つけないよう、伊作は指の腹をつかって柔らかな割れ肉をそっとなぞりました。わずかにふくらんだ柔肉が、異物の侵入を拒むように男の指をはさみます。半ばまで秘肉に埋没した指先が、上部の小さな突端に触れました。
「ふあ、ん……」
 前方から少女の声。痛みから発せられた声でないことは、無骨な伊作にもわかりました。鈴の声は変わらず澄んでいて、それでいて艶めいたものを感じさせました。
 背すじを灼くような高ぶりが、ふたたび伊作を煽りたてています。息は荒くなり、並びの悪い歯を見せていました。伊作は両手の指をつかって、柔らかな割れ目の柔肉をつまみます。無骨な指が、こまかく震えていました。小さな性器に痛みを与えるのをおそれ、爪をたてないように気をつかっているのが鈴にも伝わっています。
「んっ……」
 ゆっくりと柔肉のはざまがひらかれ、淡い紅色の果肉が伊作の眼前に晒されます。月の明かりを浴びて、きらきらと光って見えました。
「ふふ、鈴の、ここ……濡れ、ちゃってる?」
 しなやかな指が、白い身体の上で自分の秘所をさします。少女のしぐさに背をぞくぞくとさせた伊作が、血走った目をさらに近づけました。
「ああんっ……おじさんの息、あつい……」
 触れそうなほど間近から男の息を吹きかけられ、ほそい脚がびくんと震えます。鼻にかかったような鈴の声に、伊作の高鳴りは胸だけでなく脳天にまで達していました。見開いた目は、瞬きをするのも忘れて一点を凝視しています。
 無精ひげの口が大きく開かれ、包みこむように少女の割れ目全体にむさぼりつきました。大きな舌が、押しつけた唇のなかで幾度も割れ目の内側をなぞりあげます。伊作がじゅるじゅると音をたてて吸うたびに、小ぶりなお尻が床板から浮き上がりました。
「やっ……おじさん、おじさんっ……」
 まだ乳房のふくらみも薄く、お尻の丸みも足らない少女だというのに、男を受け容れる準備はすっかり整っているようでした。伊作の口内には、淫らで甘い匂いのする液の味がしています。舌先で小さな裂け目をつつくと、応えるようにとろりとした粘い汁が垂れてきました。
 舌なめずりをするように唇をひとまわり舐めながら、無精ひげが少女の股間から離れました。呼吸は乱れに乱れ、もはや鼻と口、どちらで息をしているのか伊作にもわかりません。
 伊作は岩のような筋肉で固めた身を起こすと、天を衝いている怒張の根元を握りしめます。脚を開いたまま寝そべっている少女の前に膝をつくと、剛直の先端を柔らかな割れ目へと宛てがいました。大量に放出した後だというのに、肉棒にはまったく衰えが見えません。猛り狂った勃起の先端を、鈴は首を起こして見つめていました。
「おじさん……はやく……はやく、きて」
 伊作の貌に戸惑いの情が見られたのでしょうか。鈴はせつなそうな声で、男そのものをおねだりしました。黒曜石のような瞳は潤みを帯びていて、わずかにひらかれた紅唇からは甘い吐息が漏れています。
 衝き動かされるように、男の腰に力が入りました。赤く腫れあがった亀頭が、ぷっくりとした割れ肉を押し広げています。先端で収まるべき膣孔の入り口を見つけると、狙いを定めるように固い尻が引き締まりました。先に上体が倒され、追いかけるように腰がゆっくりと押しつけられます。
「んっ……! おじさんが、はいって、くる……!」
 小さな割れ目を押し分け、黒々とした肉棒が挿しこまれていきます。幼い膣の締めつけはつよく、何本ものほそい指で握られているようでした。伊作は己の男根がつるりとした恥丘の下に呑みこまれてゆくのを見て、悶絶しそうになっていました。


――ようやく始まりおったかい! まったく鈴のやつめ、ぐずぐずしよってからに……。
 土間では鬼婆が、かまどの前をうろうろと歩き回っています。額には青筋が浮き上がっていました。
 月は天高く昇り、蒼白くかがやいています。いつもの山姥なら、「男を生きたまま捌くのにはちょうどいい月じゃて」などとうそぶくものですが、今日にかぎってはそんな余裕は見られません。落ち着きがまったくなく、かまどの横に置いた長包丁の柄を握ってみては戻したりと、苛つきを抑えらることもできないようです。
――ま、まあ、いいわい。鈴もことし最後の男をじっくり味わいたいのじゃろうて。
 ちらり、と皺だらけの貌を障子へ向けます。ふたりの影が月明かりにはっきりと見えました。男が覆いかぶさってはげしく腰を振りたてています。突きたてられるたびに、少女の短い喘ぎ声が吐息とともに放たれています。
――餓鬼のくせに、好きものの女になったもんじゃ。
 山姥は下卑た笑みに貌を歪ませます。いままで殺した男たちと鈴との交合を思いかえしていました。
 はじめの男のときは、泣き叫びはしなかったものの、苦痛のためのすすり泣きがずっと聞こえてきました。相手は年端もいかない幼い娘だというのに、好色な男はいっときも離そうとせず幾度も貫き弄んだのです。
 ふたり目のときも、はじめほどの苦痛はなかったのでしょうが、すんすんとか細い泣き声が聞こえてきました。嫌がる鈴が男根を無理やり咥えさられるのを、山姥は障子越しに見ています。やはり男にされるがままでした。
 鈴が変貌したのは三人目からでした。男を見つめる瞳が妖しいかがやきを放つようになっていたのです。自ら衣服を脱ぎ、肌を合わせにゆくようになりました。男を悦ばせるすべを身につけはじめていたのです。
 五人目の男を連れこんだときには、艶かしく男を誘うようになっていました。障子越しに聞こえる喘ぎは、ほとんどが男のものに変わっています。逆に男のものを弄ぶようになり、自分から跨って腰を振るようになりました。
 男に抱かれるごとに鈴は色香を増し、艶やかさを得てゆきます。大の男があどけない貌をした小娘に心まで奪われるのを見て、さすがの山姥もそらおそろしい気がしました。期待どおりに育ってくれたといえばたしかにそうですが、それにしても成長が急に過ぎました。いまでは男を意のままに操ることもできそうです。
 けれども、山姥にとっては悪いことではないのです。むしろ好ましいことでありました。鈴が男に与える悦楽が深ければ深いほど、その後で見せる生き地獄もまた味わい深いものになるからです。
 鈴は従順そのものです。男を誘うための優れた「道具」と考えれば、これ以上のものはありません。「道具」が男と寝ることを愉しんでいるようなら、餌としてそれくらいは認めてやってもよい。少々の薄気味悪さを感じつつも、山姥はそう考えるようになっていしました。
――それにしても、今日は遅い。
 天井近くの窓から見える月を眺めながら、鬼婆が舌打ちをしました。長包丁に手を伸ばしかけますが、それをなんとか押しとどめます。
――ええい。男が果てたら踏みこんでやるわい。
 男が何度も達し、精魂尽き果てて余韻を愉しんでいるときに飛び込むのが山姥お気に入りのやり方でした。しかし今回はそこまで待っていられないようです。隣の板間から聞こえる男女の息づかいにさえ、山姥は腹を立てはじめていました。


「おおっ、おおっ……!」
 無精ひげの開いた口から、感嘆のものとも、喘ぎともとれる声が断続的にこぼれています。雪肌をはげしく打ちつける音が、板間の床に響いていました。
 覆いかぶさった男の逞しく日に灼けた肉体に比べ、貫かれている少女の身体はきゃしゃで、月光を浴びて蒼白く見えます。幼い割れ目を大きく押し分けて、猛々しく膨張した肉棒が出入りしていました。
 伊作の男根はあきらかに少女の性器には大きすぎる代物です。鈴が悲鳴をあげて痛がったり、また未熟な膣穴が異物の侵入を阻んでもおかしくありません。けれども、わずかに白い歯をのぞかせた紅いくちびるから漏れるのは甘く濡れた吐息でした。つるりとした柔肉は、いっぱいに押し広げられているにもかかわらず湿り気を帯びています。窮屈な筒内は淫らな蜜を垂らし、侵入者たる肉棒を快く受け容れているようでした。
「あっ、あんっ……んっ、おじさん、もっと、してっ……」
 潤滑液をふんだんに絡められた肉茎は、水音をたてながら抽送を繰り返しています。白い脚が、ごつごつした腰にまわされました。両脚を伊作の後ろで組むと、あまり肉のついていないふくらはぎに力が加わります。少女が、自分から男の腰へと股間を押しつけたのでした。
「うわっ、す、鈴……」
 しっとりと濡れた瞳が、伊作を見上げています。男の目をとらえたまま、組んだ脚に向かって幾度も幾度も腰を浮かし、自ら男根を迎えにゆきます。小ぶりなお尻が、肉棒をもとめてふるふると揺れていました。
「おねがい、おじさんも……して。おねがい……」
 少女の媚声に男の喉が何度も上下します。唇は乾ききっていましたが、そんなことには構っていられません。伊作は鈴がお尻を浮かせるのに合わせて、いきり立った剛直を突きはじめます。
――お、おら、こんなの……はじめてだ。
 かつて味わったことのない興奮が、腰から背に、そして全身を駆け巡っています。伊作の胸に、新たな感情がわき上がっていました。
――じっくり……ゆっくり愉しみてえだ……!
 伊作は遅漏です。性交の際、いつも早く果てることばかりを考えていました。妻が性交を好まなかったことが大きな要因です。ツネは感じることがないわけではありませんが、時を要する伊作との交合を嫌いました。優しい伊作は妻を思い、なるべく負担をかけないように気をつかいました。何度かは中断してまで妻を労わったものです。
 しかし、男たるもの射精しなければ満足できません。長引けば長引くほど快感は麻痺し、達することが難しくなります。伊作は常に、一刻もはやく精を吐き出すことだけを考えるようになっていました。
 けれども、そんな性交に本当の満足はあるのでしょうか。焦りは快感を遠のかせ、伊作が精を漏らすまでに費やす時間はますます長くなってゆきます。ツネは嫌気がさして夫の誘いを拒むようになり、伊作も無理強いをしてまで妻とまぐわいたいとは思わなくなっていました。
 それでも伊作はツネを愛していたので、遅漏を直して子作りに励みたいと願っていたのです。けれどもそれは願望に過ぎず、そのために何をしたらよいか見当もつきませんでした。互いがけもののように求めあう、そんなまぐわいがあることさえ、伊作は知らなかったのです。
 男が女を。女が男を。貪欲に欲しあうことの喜びを、伊作はいま全身全霊で感じていました。身体の奥で炎が燃え盛り、大きな団扇で煽がれているようです。密着した汗で湿った胸から、鈴の鼓動が聞こえてくるようでした。
「あっ、あう、んっ……おじさんっ……いい、いい、よおっ……」
 伊作は満ち足りた貌で、白い裸身を抱きしめたまま男根を突きこんでいます。鈴もこたえるようにお尻を左右に振り、硬い怒張を蜜のあふれた秘孔で淫らに扱きたてました。ふたりの吐息は互いの喘ぎに交じり、板間の外までも響き渡っています。



 板間から障子ひとつ隔てた土間で、老婆が憤怒の表情を浮かべていました。男女のとろけるような甘い声が、さっきよりもはるかに大きく聞こえています。
――いったい、いつになったら終わるんじゃい! この遅漏が!
 胸の中で男の間抜け面に唾を吐きかけるのも、もう何度目のことでしょう。額の青すじが、今にも破裂しそうに膨らみ、小刻みに震えています。筋骨逞しい右手には、長包丁が握られていました。障子ごと斬り倒して、男をなます斬りにしてやりたい衝動を辛うじて堪えています。
 山姥の苛だちは、頂点に達しようとしていました。ふうふうと荒い息を吐くその口からは、黄色く鋭い歯が見えています。鬼婆とはよくいったものでした。
――まったく、鈴のやつめ。終わったら、お仕置きしてやらんといかんわ!
 はじめて鈴への不満を胸に抱いた山姥には、胸に浮かんだ憂いを消すことができません。苛立ちの原因は待たされていることだけではありませんでした。少女の声が、どうにも甘すぎるのです。
 男を手玉に取るようになってからは、艶かしい声を出したり男に媚びたりすることが珍しくありません。連れこんだ男はみな、鈴のようにうつくしい少女に甘い声を出されて夢中になりました。もちろん少女の演技であり、男をその気にさせる芸でした。
 しかし、今日の鈴の声はどうでしょう。演技にしては熱が入りすぎている気がします。吐息はみじかく、とぎれとぎれになっていて、心から男を求めているように山姥には感じました。
――いや、そんな筈はないじゃろ。もしそうでも、あやつがわしに逆らえるはずがない。
 かぶりを振って自分の頭に生じた危惧を打ち消そうとします。万が一、鈴が本気になってしまったとしても、男を殺してしまえば済む話です。相手が物言わぬ肉塊になってしまえば、少女の想いなど露と消えてしまうはずです。山姥は、己に言い聞かせるように何度も頷きました。
――どっちにしろ、もう待てん。
 手にしていた長包丁を台の上に置きます。腰を屈めてかまどに向かうと、火打石をつかって焚きつけに火を点けました。山姥は、釜の中の水が沸きあがると同時に板間に踏み込むことに決めました。


「はあっ、はあっ、鈴っ、鈴うっ……!」
 夜はどっぷりと更け、丑の刻(午前一時)をむかえています。秋の夜のすきま風が入り込み、そぞろ寒さを感じてもおかしくはないはずですが、板間の上は熱気に包まれていました。ふたつの裸体が揺れるたびに、細かい汗が床板の上に飛び散っています。
 鈴は伊作の前で、あらん限りの痴態を見せていました。けもののように這って可愛らしいお尻を振って誘い、後ろから貫かれて喜悦の声をあげました。男の上に跨り、繋がった部分を見せつけるように淫らに腰を揺らしました。繋がったまま口づけ、渇ききった男の喉に舌を絡ませて唾液を与えました。姿勢を変えるたびに、鈴は雄々しく勃起した肉棒に口づけるのを忘れません。少女の淫らな花は渇くことなく、ねっとりとした蜜があふれつづけています。
「おじさん、おじさんっ……いいの、おじさんの、いいの……」
 伊作は床に背をつけて仰向けに寝ています。透き通るような白い背中が、はげしく揺れ動いていました。鈴は伊作に背を向けて跨っています。小さなお尻が上下するたびに、浅黒い肉茎がぬらぬらと淫らな汁でかがやきながら姿をあらわしました。
 無精ひげの目は、白いお尻が肉棒を呑みこむ光景に目を奪われています。男根を締めつけている秘裂の上にある、慎ましげなすぼまりまでもが愛しく思えました。自らも腰を突き上げつつ、股の下から高まりが昇りつつあるのを感じています。
「はっ、鈴、鈴っ……おら、おら、こんなに幸せを、感じたことは、ねえだっ……!」
 まなじりに涙を浮かべて、伊作は心からのことばが口にしました。鈴は遅漏の伊作に、焦らなくてよい交わりを教えてくれたのです。求めあう快感を与えてくれたのです。
「あっ、はあ、んっ……おじさんっ……うれ、しい……」
 ふたりは心身ともに満たされ、絶頂を迎えようとしていました。伊作は少女の小ぶりのお尻をつかみ、猛烈に突き上げてゆきます。鈴は奥処まで責められながらも、合わせるように腰を小刻みに揺らしました。

 そのときでした。歓喜の瞬間を得ようとしていたふたりに、邪魔が入ったのは。

 いままさに伊作の精が放たれようという寸前、障子が勢い良く開かれました。続けざま、長くて重みのある物体が、男の頭に振り下ろされます。
「おじさんっ……!」
 鈴の凛とした声に、伊作の肉体がすばやく反応しました。頭上に大きな影を感じ、あわてて横になったまま上体を捻ります。
「おおおっ……!」
 耳の横で、鉄が木板を突き破る音がしました。裸のふたりは飛び跳ねるようにして身体を起こしました。
「な、な、な――す、鈴……」
 老婆が目を見開いて、少女を睨みつけています。伊作の頭部を狙った長い刃は、床板に突き刺さったままでした。
 伊作は目の前の出来事を整理するよりも先に、つよい憤りに身を包まれていました。
――もう少し……もう少し、だっただ……。
 邪魔した者の貌を見るとさらに怒りが増しました。さっきまで鈴のうつくしい貌を見て至上の喜びを感じていたのに、見たこともないような醜悪な婆に絶頂を妨げられたのです。生まれてはじめての満ち足りた瞬間を。
「こ、こ、こ、この――」
 そしてふたたび浮かんだ老婆の殺意を、激高した伊作は敏感に感じ取りました。理性ではなく、本能が敵意を悟ったといえます。
――まだ、邪魔しようってのか! 
 老婆の手が伸びるよりはやく、伊作が長包丁を手にしていました。ふかぶかと床に突き刺さった重厚な刃をいとも容易く抜き、大きく振りかぶります。
「この婆あ!」
 鍛え抜かれた豪腕が勢い良く振り下ろされました。悲鳴をあげる間もなく老婆は後方へと倒れこみます。
 頭蓋が、喉元まで割られていました。



 翌日。
 伊作は元来た山道を辿り、町へと続く道を歩いていました。鈴も一緒です。山姥を殺してたことを、町の御番所へ届け出るつもりでした。
 老婆を返り討ちにしたあと、我に返った伊作は大変なことをしてしまったと取り乱しました。人を殺めてしまったと。それも、激情にかられて。
 親代わりの婆さんを殺してしまったと手をついて謝る伊作の頭を、鈴はやさしく撫でました。伊作が落ち着くのを、子供をあやすように辛抱強く待ったのです。
 ようやく冷静さを取り戻した伊作に、鈴はすべてを語りました。老婆が若い男を襲ってその肉を喰らう山姥だったこと。自分が拾われてその手伝いをしていたこと。もう少しで伊作も頭をかち割られていたことを。
 殺されかけたことも忘れてひたすら罪を悔いようとした伊作を、鈴は「お人好しすぎるよ」、といって微笑みます。伊作は聞かされたことがなかなか信じられないようすで、しばし呆然としていました。山姥や神隠しなど迷信だと頭から決め込んでいたのです。すぐには信じられませんでした。
 けれども、目の前で起こったことは、まぎれもない事実でした。時間をかけて事態を呑み込むと、やさしく微笑んでいる鈴を真剣な目で見つめます。
「鈴は……おらを、おらのことを、たすけてくれただか」
 伊作は長包丁を振り下ろされる直前、鈴がかけてくれた声は忘れていませんでした。もし伊作があのとき殺されていれば鈴もただでは済まなかったでしょう。山姥は裏切りに憤り、鈴をも殺していたかもしれません。少女は、伊作を命を賭して救ってくれたのです。
「おじさん……いままでの男とちがったから……」
 漆黒の瞳が濡れていました。いままで伊作に見せた艶かしいものではなく、幼い少女の涙が滲んでいます。殺人鬼に養われ、どんなに辛い思いをしてきたのか。伊作には想像もつきません。
 鈴の涙がこぼれ落ちる前に、太い腕がほそい身体を抱きしめていました。



 町の御番所に届け出た伊作は、山姥をこの手にかけたと正直に名乗り出ました。山姥などという迷信めいた話を、信用してもらえるのか。伊作は不安でした。下手をすると単なる老婆殺害として打ち首にされてしまうのではないかと。けれどもその心配は杞憂に終わります。なんと、町奉行さまみずからが話を聞いてくれたのです。お城の若いお侍があの山で行方知れずになっていたらしく、ちょうど捜索をすすめていたのだそうです。
 町奉行さまは部下たちを引き連れ、伊作とともに山姥の小屋へと向かいました。鈴が教えてくれたとおり、庭先に喰われた男たちの骨と遺物が埋められているのが見つかります。そのなかには、行方不明とされていた若侍の持ち物もありました。伊作の話が確かだったことが、その日のうちに証明されたのです。
 相手が山姥とはいえ、伊作は殺人を犯したと申し出ています。事件がはっきりしたところで、どんなお咎めを受けることになるやらと緊張していました。殺されかけてのことだから、死罪にはならないだろうと思っていましたが不安を隠せません。
 伊作に与えられたのは罰ではなく称賛でした。殺人鬼を退治した手柄者として、思いがけなくお褒めの言葉をかけられたのです。それだけではありません。お城の殿様から、若い侍の仇を討ってくれたということで、十両もの大金を褒美として与えられたのです。
 さすがに一介の百姓に殿様手ずから、というわけにはいきませんでしたが、褒美を渡してくれたお侍さまからは、「殿は、おまえのような勇士を家臣に持ちたい、とまで仰せられていたぞ」と、過分なお言葉まで頂戴することができました。伊作は恐縮することしきりでしたが、その謙虚ささえ、お侍さまや町奉行さまに気に入られたようです。「百姓をやめたくなったらいつでも来い」とまで言ってくれました。
 町を歩けば「山姥退治の英雄」としてはやしたてられるしまつです。たった一日で城下町一帯に伊作の名が轟いていました。別に退治しようと思って殺したわけではないのに、と面映く感じた伊作は早々に町を出ました。



 木賃宿の粗末な座敷の壁際で、伊作は鈴と隣り合って座っていました。夕日が、古びた畳を赤くしています。
 鈴はぴったりと伊作にくっついて、もたれかかっています。親子のように年齢は離れていますが、そのようすは愛し合う恋女房と旦那といったところでした。
 町奉行さまには、鈴が山姥の殺人を手伝っていたことは伏せていました。山姥に拾われ、下働きをさせられていたということにしたのです。鈴自らが弱々しい口調で語ったところ、同情を集めたのか不審を抱く者はいませんでした。伊作は、ほっと胸を撫で下ろします。いかに子供とはいえ、真実を明かせばどんなお咎めを受けるかわかりません。
 事件が晴れて解決したとき、鈴をどう保護するべきかという話が持ち上がりました。そのとき御番所にいた男たちの、鈴を見る目が伊作の脳裏に灼きついて離れません。「保護」と口では言っているものの、目はぎらついて獣欲を剥き出しにしていたのです。少女の白い肌、大きく澄んだ瞳。透き通った声。魅力あふれる娘に視線が集まるのは仕方のないことですが、彼らの視線は小袖からのぞくうすい胸元や、ふくらはぎを湿った眼で見つめていました。
 鈴は身をすくめて、伊作に抱きつきました。男たちの血走った目に怯え、がたがたと震えています。伊作は男の劣情に晒されてきた少女の胸のうちを思うと、放ってはおけませんでした。
「おらが、引き取りますだ」
 思わず、大声で叫んでいたのです。
 御番所でそう宣言し、ここまで連れてきてしまったものの、先のことを考えると伊作は頭が重くなりました。村へ帰れば妻が待っているのです。いったい鈴のことをどう話し、そして同居させることをいかに納得させればよいのでしょう。正直な伊作にはあまり嘘がつけません。問い詰められれば白状してしまうことでしょう。伊作は大きなため息をつきました。
「おじさん……鈴を連れてくるの……いや、だった……?」
 少女が伊作の貌をのぞきこみます。黒い瞳は不安げに潤んでいました。
「馬鹿いうで、ねえ」
 伊作は少女の貌を曇らせないように、やさしく抱きしめました。鈴は抱き寄せられながらも、伊作を見つめたままです。紅いくちびるはわずかに湿っていて、伊作は己の股の間から劣情が沸きあがるのを感じます。
――い、いけねえ! もう、鈴を抱いちゃ、ならねえ!
 少女の黒い瞳に吸い込まれそうになり、伊作はあわてて貌を逸らしました。山姥の道具となって、男たちの欲望を受け容れてきた娘なのです。鈴には人並みに幸せになって欲しいと思い、一度の過ちとはいえ抱いてしまった己に課せられた義務だとも考えていました。親代わりになって、見守ってやるのだと。
 視線を夕日に照らされた畳の目に向けた伊作ですが、すぐに意識を鈴に戻されることになります。白い手が、伊作の股間の上に乗っていました。
「す、鈴……」
 少女の白い貌は、無精ひげを見上げたままです。汚れた褌がひんやりとした手に解かれてゆきます。伊作は白昼夢を見ているように呆けた貌で、下半身が剥き出しにされるのを見下ろしていました。
「おじさん、すき……」
 男の口にそっとくちびるをあわせると、白い手が上下に動き出しました。



 さらに翌日。村へと向かう伊作の足取りは、いつになく重いものでした。横を歩く鈴の速度にあわせているというだけではなく、貌に疲労があらわれています。目の下に深い隈ができていました。
 あきらかに荒淫のせいです。伊作は木賃宿の座敷で鈴の誘惑に抗えず、朝方まで交わったのでした。山姥に邪魔されて果たしえなかった男女の悦びを、時間をかけてたっぷりと味わったのです。それはそれは満ち足りた一夜でしたが、夜が明けると足腰にがたがきていました。
 さらには、妻への罪悪感が重くのしかかっています。昨日の時点でなら、まだ一夜の過ちという言い訳も立ちましょう。しかし、これほど深く少女と交わってしまってはどうにもなりません。寄りかかるように密着しながら歩く鈴の態度にも、如実にあらわれてしまってもいます。
 懐にはツネへの土産もあるし、金子もたんまり入っています。本来なら晴れがましい貌で大手を振って帰るところですが、ひどく重苦しい気分でした。
 それでも帰らないわけにはいきません。伊作は猫のようにじゃれつく鈴とともに、村を目指して歩きつづけました。


「おお、伊作だ!」
「よう、帰ったの!」
「山姥退治をしたんじゃっての!」
 驚くべきことに、村に足を踏み入れるとともに村人がわらわらと伊作へ群がりました。半年前、労役に出るまでは伊作のことをいいように使っていた連中です。手を貸して貰えるのが当たり前。しかもぞんざいな態度しかとることのなかったのです。村人にいったい何があったのでしょうか。
 名主さまが群集を分け入って前へ出ます。無理につくったような笑顔を浮かべています。伊作はなんだか気味が悪くなりました。
「おお、伊作。お疲れじゃったのう。なんでも山姥まで返り討ちにしたとか。おまえさんは、やっぱり村にとってなくてはならん男じゃ。……労役なんぞに行かせて済まんかったのう」
 と、伊作に向けた目とは打って変わった鋭い目を、村の若衆へ向けます。労役を嫌がって伊作へ押しつけた連中でした。
「実は……おまえさんがいなくなって、ことしの年貢は大変だったで……。みんな、おまえさんのありがたみを、ようやく思い知ったところじゃ。まったく、この村の馬鹿どもときたら」
 名主さまが睨みつけるように見渡すと、男たちがうつむきました。名主さまは伊作に、年貢米の量が足らずいかに苦労したかを説きました。自分の私財を切り崩してなんとか納めたのだと。伊作がいてくれたらこんなことにはならなかった、と何度も何度も繰り返します。
「へえ、へえ……」
 伊作は適当に相づちを打ちながら、首をキョロキョロと動かしていました。妻の姿を探しているのです。
 その腰に、鈴がからだを縮めてしがみついていました。男たちはうつくしい少女が気になって仕方がないようですが、名主さまの目をおそれ、口には出しません。
「名主さま。ツネは、家にいるんだべかの」
「お、おお。そうじゃな。これは気がつかなくて済まんかった。さあみんな散った、散った! 長い労役から帰って来たんじゃ。水入らずにさせてやらんかい! まったく、気がきかん馬鹿ばかりじゃ」
 くどくどと話を聞かせていた自分のことを棚にあげて、名主さまは周囲を怒鳴り散らしました。人当たりの良かった名主さまの変貌振りに、伊作は目を丸くします。いくら年貢の肩代わりをするために私財を投じたとはいえ、様変わりしすぎていました。

 鈴を傍らに抱きつつ、伊作は半年振りの我が家へと向かいます。空がそろそろ赤く染まるころでした。
「あ、あんた! お帰りなさい! まあ、逞しくなって」
 ツネは何年も見せたことのないような笑顔を浮かべて伊作を出迎えました。けれども、伊作の目は妻の貌を見ていませんでした。首はツネを向いていましたが、見ているのはもっと下です。妻の、腹でした。
 ぽっこりと突き出た下腹部は、中に子がいることが明らかです。伊作は思わず指をさします。指先が震えていました。血の気が引いた貌で、問い詰めます。
「ツネ、その腹は……なんじゃ」
 まったく抑揚のない声でした。聞いたことのない夫の低い声に、ツネはうろたえながら弁解をはじめます。
「や、やだ、あんた……労役に出る前に、あんなにしたでねえか」
 目を泳がせ、あぶら汗を額に浮かせたその貌は、己の言葉が真実ではないことを示しています。
 だいいち、伊作にはまったく覚えがありません。酒をまったく呑まないので、記憶を怪しくすることもありませんでした。
 ツネがほかの男と浮気をしていたことは間違いありません。それも、お腹の大きさから見て伊作がまだ労役に行く前からのことでしょう。ひょっとしたら、もっと以前から……伊作と交わらなくなったころから不貞をはたらいていたのかもしれません。伊作は怒りに唇を震わせました。
「そんなことより、その小娘は……?」
 誤魔化すように、ツネが伊作の腰に抱きついている少女を指しました。鈴はあからさまな敵意を、その黒い瞳にあらわしています。ツネを睨みながら、さらに腕を深くまわして伊作にしがみつきます。
「おまえさん、その娘は、なんなんだい」
 ツネは訝しげに鈴を見据えています。敵意を向けられているせいか、いまいましげに眉間に皺を寄せていました。
 返答がないのをどう受け取ったのか、ツネは気を取り直して夫に向き直ります。機嫌を伺うような上目づかいで、伊作に媚びているようにも見えました。
「ねえ、山姥退治したんだって? 金子までもらったんでしょう」
 伊作にはもう、妻の貌をうつくしいとは思えなくなっていました。
 みにくい。こころが、卑しすぎる。
 ツネはほかの男と浮気をしただけでなく、その間にできた子供も何事もなかったかのように夫に養わせる気でいるのです。伊作には開かなかった身体を、どこの誰に与えていたのでしょう。ふたりして裏で伊作を嘲笑っていたのでしょうか。
 ツネという女は、どこまでも心の貧しい女でした。伊作はそんな女に夢中になっていた自分に、情けなさを覚えていました。心の中で思い描いていた妻の像が、高すぎたのかもしれません。よくよく見れば、あれほどうつくしいと思っていた貌も大したことがありませんでした。鈴のなめらかな肌に比べれば、雑巾のようなものです。鈴の漆黒の瞳と比べたら、西瓜の種のような目です。鈴の澄みきった声の前では、イナゴのような煩わしい声です。
 そう思ったら、伊作の肩から力が抜けました。嘘のように、怒りが消えています。ふっきれたような笑みさえ、浮かべていました。
「ツネ、おらも浮気をした」
「えっ……?」
「こりゃ、手切れ金じゃ。おらは村を出る。さらばじゃ」
 伊作は褒美として貰った十両の包みを、ツネの前に投げ捨てて背を向けました。呆然とするツネを尻目に、力強く歩き出します。
 鈴は子供らしくツネにあかんべえをしてから、あわてて伊作を追いかけました。
 夕日に染まる村の小高い丘にはふたつの影が大きく伸びています。背の高さは違いましたが、つがいのように絡み合い、離れることなくゆっくりと歩を進めてゆきました。



「はあっ、はあっ……鈴、鈴っ……」
 月明かりの下、伊作が雪肌を組み敷いています。岩のような腰に力が入るたび、白い裸体が淫らに身をよじりました。
 伊作はツネ以外の誰にも挨拶することなく、村を出ていました。結局、昨夜泊まった木賃宿に戻っています。辿りついたのは夜中でした。
 伊作は気づいたのです。村人も名主さまも、ツネと同じだということに。労役から帰ってきた伊作を口々に褒め称え、態度をあらためるようなことを言っていましたが、単に自分たちが困ったからにすぎません。いいように使っていた「道具」がなくなる不自由さを味わっただけです。喉元を過ぎればまた元にもどることでしょう。誰もが伊作を都合よく使うことしか考えていません。
 名主さまも変わりません。若衆の意見に押されていたとはいえ、伊作に労役を申しつけたのは名主さまです。いまになって自分だけが伊作の味方だったような顔をして、年貢の集まりが悪いのをすべて村人のせいにしているのです。もともと貴重な労働力である伊作を外にやったのは名主さまであり、自業自得でした。いくら村人の年貢の肩代わりをしたとはいえ、傲慢な態度には胸糞が悪くなります。
 小狡くたちまわる名主さまも、急に卑屈になった村人も、ひどく矮小に思えました。労役に出たおかげで、伊作は外の世界を見ています。生死をともにした仲間は、心から伊作に感謝してくれました。必死の働きを、奉行さまは褒めてくれました。山姥を退治した伊作を、町の人や御番所の方がたは「勇士」だと言ってくれました。
 少なくとも村の外では、伊作をあなどるような者はいなかったのです。いいように使い、礼もまとも言わないような者はいなかったのです。皆、それなりに正当な評価でもって伊作を見てくれました。人の役に立つ伊作を、みとめてくれました。
 伊作にはもう、村のために働く気はありませんでした。心の支えとしてきた妻までもが、自分を裏切っていたのです。村になんの義理がありましょう。
 本来、百姓が田畑を捨てるのは重罪とされています。けれども、伊作には伝手がありました。お侍さまにも町奉行さまにも、「百姓をやめたくなったらいつでも来い」とも言われているのです。少なくとも百姓をやめるための便宜をはかってくれるはずでした。そのあとは、いざとなったら人足でもなんでもやればいいのです。伊作は労役で、自分の肉体の頑強さを悟っていました。
 なにより、いま伊作には鈴がいました。自分だけを愛してくれる、うつくしい少女がそばにいるのです。鈴と一緒に暮らしてゆくためなら、どんなことにも耐えられそうでした。
「あんっ、おじさん、おじさんっ……もっと、もっとして……」
 少女の爪が、広い背中に爪をたてていました。伊作はその痛みさえ心地好さげに貌を歪め、腰を突きこんでゆきます。鈴を貫いてから一刻あまり。遅漏はあいかわらずでしたが、気にもせず白く甘い肉体を愉しんでいました。鈴もまた、淫らな声をあげて伊作にこたえています。
「おっ、おおっ……す、鈴……で、出る、出そうっ……!」
 覆いかぶさった伊作の目が見開かれています。少女の膣内に遠慮なく注ぎこめる悦びに打ち震え、口元がだらしなく開いていました。
「うんっ……出して、鈴に、鈴のおなかに、いっぱい、いっぱい、してえ……!」
 少女の腕が、伊作の首に絡みつきます。男の首を抱えながら、鈴は深く繋がったまま小ぶりなお尻を妖しくくねらせました。単調なうごきに慣れた肉棒に思いがけない刺激を与えられ、伊作は急激にのぼりつめてゆきます。
「おおうっ、鈴うっ……!」
 ビク、ビク、と、少女のせまい膣内ではげしい脈動がはじまります。伊作は溜めに溜めた大量の精液を、気持ち良さそうに鈴の胎内へ注ぎ込んでいました。息を呑んで、搾りとられるような媚肉のしめつけを愉しんでいます。
 絶頂の瞬間、鈴は知らず盛り上がった肩に歯を当てていました。思いきり噛んでしまったのでしょう。血が滲んでいました。
 鈴は愛する男の吐精を受けながら、歯型に浮かんだ赤い血に舌を這わせます。

――おじさんのお肉だったら、美味しいのかな。

 少女の頭には、血のように鮮やかな紅いかんざしがさされていました。



 おしまい。

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  1. 2010/01/19(火) 18:00:00|
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臥頭狂一

Author:臥頭狂一
(がとうきょういち)
 日々、頭痛に悩まされながら官能小説を書いています。
 いろいろなジャンルに手を出していくつもりです。よろしければ読んでいってください。
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