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臥頭狂一のエロ小説ブログ。※18歳未満閲覧禁止。

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黒石 (短編・18枚)

 注意!

 エロ描写は薄いかもしれません。
 不快感が残るかもしれません。
 黒石さんは読まないほうがいいかもしれません。

 それでも良ければどうぞ。


 

 黒石は女癖が悪い。それに馬鹿だ。自己中心的だし、空気を読むということを知らない。小学校からの腐れ縁だから一応友人をしているけれど、できることなら今すぐ縁を切りたいくらいだ。やつをよく知る者で友人になりたい人間なんて、きっと存在しないだろう。実際、同じサークルの連中からも嫌われてる。飲み会や集まりがあっても、『黒石には連絡しなくていいから』と、僕はいつも釘をさされていた。
 黒石はいつも女の話しかしない男だった。自分がいかに女にもてるかを自慢するところからはじまり、セックスに持ちこむまでの時間の短さを誇る。放っておけば昨日したセックスの内容、回数、女の反応を飽きずに喋りつづけるのだ。聞かされるほうはたまったものじゃない。
 認めたくはないけど、たしかに黒石は格好いい。身に着けている服のセンスもいいし、見た目だけなら女性の多くが惹かれてしまうのも無理はないのかもしれない。けれども、性格に難がありすぎる。どうして黒石のような男に女の子が次々と引っかかってしまうのか、僕には不思議でならなかった。
 なにしろ黒石というやつは女のことしか頭にない。まだ僕たちが入学して間もないころだ。同じ学部の女の子たちと少しは仲良くなり、一緒に学食を摂っていた。そのうちのひとりは歩ちゃんといって、なかなか可愛い子だった。その歩ちゃんに向かって、やつは親子丼を食べながらとんでもないことを言い出したのだ。
「歩ちゃん、処女?」
 僕はラーメンを食べていたので、口にしたチャーシューを噴き出してしまうところだった。おそるおそる歩ちゃんのほうを見ると、箸を持ったまま固まってしまっていた。
「だったら、はじめてはうまいやつがいいよ。まあ、ここじゃ、俺よりうまいやつなんていないけど。処女じゃなくても、俺としてみたほうがいいよ。ほかの男なんて目に入らなくなるから」
 黒石は実に楽しそうに、嬉しそうに、そしてさも当然のように武勇伝を語り出した。もちろんセックスのことだ。僕は頭を抱えた。もう止めたところで遅いだろう。女の子たちはもちろん気分を害して立ち去ったよ。その子たちは今でも口をきいてくれない。無理もないと思う。

 サークルの連中から疎まれるようになったのにも理由がある。僕たちが部室に出入りするようになってまだ日が浅いころのことだ。サークルの部長は岸井さんといって、僕たちよりふたつ上の男性。理知的で、穏やかで、そのうえ気配り上手の岸井部長を、僕はひそかに尊敬していた。
 岸井さんは、西村さんという同い年の女の子とつきあっていた。西村さんは見るからに内気な人で、服装も地味だけど眼鏡のよく似合う美人だ。サークル内公認の仲であり、お似合いなふたりだった。ふざけてやっかむ声もあったけど、応援したくなるようなほのぼのカップルだったんだ。
 黒石のやつも、ふたりがつきあっているのを当然知っていた。それなのにやつは、西村さんに手を出そうとしたんだ。それも岸井さんという彼氏がいる前でだ。場所は部室で、他の連中もおおぜいいた。
「西村さんって岸井部長とつきあってるんだって? やめときなよ、セックス下手でしょ?」
「えっ……」
 戸惑う西村さんの様子なんて気にもかけず、黒石の馬鹿は口説きはじめる。
「顔見ればわかるよ、あんなの。どうせ小さくてフニャチンでしょ。ねえ、俺としてみない? 岸井さんの百倍気持ちよくするからさ」
 さすがにサークルのみんなの顔が蒼ざめた。このときは僕もすぐに止めに入った。そばにいた岸井さんの身体が、わなわなとふるえだしていたからだ。岸井さんは温厚な性格だったけれど、あのまま黒石が喋りつづけていたら殴り倒していたかもしれない。
 ほんとうのところ、あの場にいた黒石以外の全員がそれを望んでいたんじゃないかな。黒石が無様にブチのめされるところを、誰もが見たかったはずだ。そしてそれは、友人であるはずの僕も同じだった。たとえ暴力事件に発展してしまっても、僕を含め誰もが岸井さんに有利な証言をしたことだろう。それくらい、黒石の振る舞いは無礼であり、許されない台詞だった。
 なのに、僕は黒石を止めた。不快な言葉を吐き続ける口を押さえ、部室から連れ出した。どうしてそんなことをしたのか、自分でもいまだにはっきりとした理由を見つけることができない。
 あのとき僕には、怒りで血の気が引いていた岸井さんがひどく惨めに見えた。たとえ岸井さんが黒石を殴り飛ばしたとしても、その惨めさが消えることはなかったんじゃないか。気が晴れるのは、僕を含めた傍観者だけだったんじゃないだろうか。僕は、惨めな岸井さんをあのまま見ていることに耐えられなかった。僕が黒石を止めたことに理由をつけるとしたら、きっとそういうことだ。けっして黒石が殴られるのを止めたかったわけじゃない。
 その後どうなったかって? 最悪だよ。
 西村さんは、岸井さんと別れた。いや、別に黒石とくっついたわけじゃないよ。そんなことにはならなかった。それだけは安心してくれ。
 ただ、あの事件が引き金になったことは確かだ。それまで仲睦まじかったふたりがぎくしゃくしていく様子は、サークルの中だけでも容易に見てとれた。会話がほとんどなくなっていたし、たまに話しても他人行儀になってしまっていた。そして、顔をあわせるのが辛くなったのか、西村さんはサークルをやめた。岸井さんはずっと元気がないままだ。
 きっとお互いに不安になったのだと思う。黒石にちょっかいを出された西村さんは、すぐに岸井部長にたすけて欲しかった。岸井さんとしては、西村さんにすぐ、はっきりと断って欲しかった。きっと、信頼感にひびが入ってしまったんじゃないかな。もっとも、これは僕の勝手な想像にすぎないけれども。
 黒石といえば、一応サークルに籍は置いたままだ。けれど、飲み会にも集まりにも呼ばれることはない。誰もがやつを嫌っていて、関わりたくもない。そんな感じだろう。一応やつの友人ということになっている僕も、居心地の悪さを感じて、ここしばらくは足が遠のいている。
 それでも、やつは変わらない。サークルから声がかからないのを気にするわけでもなく、ナンパにうちこんでいる。そして見知った顔があると、ところかまわず女の話。学食での歩ちゃんのこともあって、黒石の非常識さ、空気の読めなさは学部内でも有名になっていった。入学後一ヶ月もしないうちに、やつは孤立した。皆が黒石を避けるようなり、話し相手は僕しかいなくなっていた。
 そして僕は、黒石に関して同じ質問を何度もされるようになった。
「どうして、あんなやつと友だちやってんの?」
 そうなんだ。自分でもそれは思う。早く縁を切るべきだと。一刻もはやく絶交するべきだと。やつに迷惑をかけられることはあっても、救われたことなんてひとつもない。やつとの交友で得ることなんて、なにひとつないのだから。
 でも、僕というやつは争いごとが嫌いな上に、八方美人な男だった。上っ面なつきあいの友人だけは多い。誰にでもいい顔はするし、どんな相手にも嫌われたくない。嫌われるということを極端におそれている。自分を社交的でどんな相手とも分け隔てなくつきあえる柔軟な男に見せたい。そんな男だ。
 そして、それは黒石にたいしても同じだった。最低なやつだとわかっているのに、こいつとの関係は他の人間との友好関係にマイナス影響を及ぼすということも自覚できているのに、切ることができない。黒石という不快なだけの存在にさえ、嫌われるのをおそれている。
 当然といえば当然だが、その性格の悪さから黒石には僕の他に友人がいない。僕が友人をやめたら、あいつは少なくともこの大学では本当にひとりぼっちになってしまう。誰ひとり、黒石の相手をするやつなんていなくなる。
 別に同情しているわけじゃないんだ。僕はそんなに慈悲深い男じゃない。問題なのは、僕がやつを『見捨てた』かたちになってしまうってことだ。僕のイメージが損なわれることを、僕はひどく危惧している。
 誰にでもいい顔をしてきた僕は、一応みんなからそれなりに『いいやつ』だと思われている。思われているはずと信じたい。その僕がたとえ黒石とはいえ見捨てることが許されるだろうか? 僕の人格に疑いを抱いてしまう友人がいるかもしれない。そう考えただけで、僕は黒石と絶交することができなかった。


 僕のそんな胸の内など知らず、黒石はいつもマイペースだった。
「昨日引っかけた女が、めちゃめちゃフェラ上手くてさ」
 講義の最中だというのに、僕に携帯の画面を見せる。モニターには、茶髪の女が巨根といっていいほど太い陰茎を口いっぱいに頬張っている画像が写しだされていた。もちろん無修正だ。女の目はカメラ目線で嬉しそうにこっちを向いていた。
「いやあ、口の中に二発も出しちまったわ。ま、その後たっぷり時間かけていかせてやったんだけどな」
 小さな液晶画面の中の女は僕たちと同世代で、綺麗な肌をしていた。頬をへこませて、黒石のものであろう肉棒を、美味しそうに吸っていた。
「つきあってる男がヘタクソな奴らしくてさ。もう、すげえ悶えようだったよ。ほら、昨日の今日でもうメール着てる。おしゃぶり上手な女だから、もう少し相手してやってもいいかな」
 胸がむかついて仕方がないのに、僕は黒石の言葉を遮ることができない。微妙な笑顔を返して、壇上で講義を続ける講師へと視線を移す。それでも、黒石はお構いなしに自慢話をやめようとはしなかった。
 本当に、こいつの話は不快だ。聞いていると頭がおかしくなりそうだ。この馬鹿の頭の中はいったいどうなっているのだろう。わかっているのは、こいつの馬鹿は死ななきゃ直らないってことだけだ。


 ここしばらく姿を見なかった黒石が、妙に沈んだ声で電話をかけてきた。相談があるのだという。まったく珍しいことだった。能天気な黒石が落ちこんだ姿を見たことはなかった。
 いつでも自信満々の黒石がへこんでいるらしいことに、僕は好奇心を抱いた。何があったのだろう。ヤクザの女にでも手を出して、追いこまれたのだろうか。だとしたらいい気味だ。まったく力になれないし、なる気なんかさらさらないけれど是非とも話を聞いてみたい。あいつは一度といわず、痛い目を見るべきだ。
 僕たちは大学近くの居酒屋で落ち合うことにした。平日で空いていたこともあり、仕切りのある座敷席で話を聞くことにした。
「で? 何があったんだよ」
 黒石はうつむいたままだ。こいつが弱っているのは間違いないようだった。僕は内心わくわくして、注文したビールのジョッキで乾杯したい気分だったけれどそれを隠し、平静を装って相談に乗るふりをした。
「実はさ……俺、女に惚れちまったんだ」
「へえ、珍しいね。女とやることしか考えてないと思ってたよ」
 話の内容は、期待していたようなものではないようだった。落胆した僕は、ふだん口にしないような皮肉を浴びせた。
「ああ……今まで、遊んでそうな女とばっかりやってたけど、あの娘は特別だよ」
 黒石の惚れた娘とは専門学校生らしい。なんでも可愛い娘だったので街でナンパしたのはいいけれど、まったく喰いついてこなかったらしい。いつもはそんな女はこちらから願い下げだ、と次を当たるのが黒石だが、何か惹かれるところがあったのだろう。彼女の後をストーカーのように尾けまわし、通学するバスをつきとめたのだそうだ。毎日待ち伏せし、ついにはセックスに持ちこんだんだというわけだ。
「……で?」
 僕は腹が立ってきた。結局いつもの自慢話と大して変わらないじゃないか。黒石はこんなことのためにわざわざ僕を呼び出したのだろうか。いつもこいつに不快な話を聞かされ続けてきた僕だけど、いい加減にしてほしい。僕は苛立ちを声色にあらわして黒石を促した。
「それが、さ。その娘には男がいたんだよ」
 ほうほう。ようやく面白い話になってきたかもしれない。その男がヤバい奴で、実家に現れたとか、そういう展開希望。
 ところが、黒石はなかなか次を話そうとしない。それどころか、それまでの暗い表情を一変させて僕をにやにやと笑いながら見上げたんだ。僕には何がなんだかわからなかった。
「……まだ、わからないのかよ」
 押し殺したような笑いが、黒石の口から漏れる。僕は気味が悪くなった。けれども気おされているのを悟らせたくなくて、ジョッキに口をつけて誤魔化した。
「ほらあ、これがその娘。可愛いだろ?」
 携帯のモニターを見せられる。そこに写っていたのは、前に見せられたような画像。巨きな肉棒を頬張っている、女。その顔は……僕の……彼女だった。
「いやあ、苦労したわ。由香里ちゃん堕とすの。だけど、他の女とやるの我慢した甲斐はあったよ。抱き心地最高だな。まったく、勉強忙しいからって、こんないい娘ほったらかしにしといちゃ駄目でしょ? あ?」
 ジョッキを持った手が、震えていた。中身があぐらをかいた足の上にだらだらとこぼれていた。
「フェラさせたことなかったんだって? 俺様が仕込んだから、いいおしゃぶりするようになったぜえ? 俺の精子、美味そうに吸うのな」
 携帯の小さな画面から、目を離すことができない。
「あ、おまえ、かなりひどい包茎なんだって? そりゃあ舐めてくれないよなあ。早く手術しに行けよ、な? ああ、俺って友だち思いだよなあ」
 モニターに写っている由香里は、前に見た女のようにカメラ目線ではなく、嬉しそうな顔をしているわけではなかった。でも……目を伏せて、一生懸命、いとおしそうに……血管の浮いた凶暴な男根をしゃぶっていた。
「とりあえず、由香里とは俺がつきあうからよ。いやあ、マジいいわ、由香里のまんこ。チンポから精子めっちゃ吸い取られる」
 だまれよ。
「ま、あれだ。そのうち飽きたら返してやるからよ。由香里が包茎なんか嫌がるかもしれんけど、ぎゃははは」
 だまれって言ってるんだ。
「妊娠してたらごめんな? もう数え切れないくらい中出しきめちゃってっから」
 うるさい。クズが。喋るな。
「生まれたガキはおまえが育てるってのもいいな。女が生まれていい女に育ったらまた俺が仕込んでやっから」
「うるさいって言ってるんだ!」
 利き手に掴んでいたそれを強く握りしめ、僕は目の前の男の頭に叩きつけた。ガラスが割れた音がした。それでも叩いた。目標がテーブルの上に倒れた。それでも叩いた。叩いた。叩いた。叩いた。叩いた。叩いた。叩いた。叩いた。叩いた。叩いた。叩いた。叩いた。叩いた。叩いた。叩いた。叩いた。叩いた。



 それから先のことは、よく覚えていない。気づいたら僕は血まみれになっていた。なんだかあちこちから悲鳴が聞こえていて、そのなかでぼんやりと立っていた気がする。しばらくしたら、赤色灯のついた車が迎えに来てくれた。
 今は灰色の壁を眺めて毎日を過ごしている。一日に一度、取調べで同じことを言わされるのが、唯一の退屈しのぎだ。
 人生棒に振ったって? ああ、そうだね。そのとおりだ。大学もそうだけど、何のために八方美人して、社交的にふるまってたのか。馬鹿馬鹿しいよね。いや、どっちも。
 あいつが何のために僕の彼女寝取ったのかって? さあ。僕があいつを嫌いなように、あいつも僕を嫌ってたのかもしれない。でも、本当は何も考えてなかったんじゃないかなあ。あいつにとって女を寝取るってことが、一種の勲章みたいなものだったのかも。もう、どうでもいいや。
 後悔? いや、していない。あ、これは裁判で言っちゃまずいんだっけ。でもさ。とんでもないことをしでかしちゃったって気持ちはもちろんあるんだけれども。ちっとも悪い気分じゃないんだよね。
 もうあいつの声を、一生聞かなくてすむんだから。

テーマ:18禁・官能小説 - ジャンル:アダルト

  1. 2010/01/03(日) 18:56:04|
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臥頭狂一

Author:臥頭狂一
(がとうきょういち)
 日々、頭痛に悩まされながら官能小説を書いています。
 いろいろなジャンルに手を出していくつもりです。よろしければ読んでいってください。
 感想、お気づきの点など、コメント、メールでいただけると励みになります。よろしくお願いします。

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