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臥頭狂一のエロ小説ブログ。※18歳未満閲覧禁止。

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あかね色のやくそく -いち- (44枚) 


 おさないころから、いつも拓海の手を引いていた。
 はたから見ると頼りない弟のようだけれど、茜音にとってはいとおしい恋人。拓海はなにより大切な存在だった。
 母親よりも自分になつき、仔犬のように甘える拓海が、茜音はかわいくてしかたがなかった。
 けれども、もうすこししっかりしてほしい。五年生になっても、拓海はあいかわらず泣き虫で甘えん坊のままだ。このままでは、いけない。




 放課後の校舎は物悲しい。下校時刻をしばらく過ぎれば、騒がしい生徒たちの気配が途絶えてしまう。秋も終わりに近づくこのごろでは、日が落ちるのも早かった。
 ひとけのない廊下を、おさげ髪の少女がてくてくと歩いていた。デニムのショートパンツにTシャツという、男の子のようにさっぱりした服装をしている。けれども顔立ちは整っていて、子役のアイドルといっても通用しそうだ。ぱっちりとした目に長い睫毛が特徴的だった。
「えぐっ、えぐ……」
 教室の中から男の子の泣き声がした。ドアの上には五年二組の表札がかかっている。ドア一枚を隔ててはいたが、茜音(あかね)には泣き声の主が誰なのかわかっていた。ふう、と小さくため息をついて教室のドアを開ける。
「また泣いてるの、タクミ」
 男の子は、教室の隅にうずくまっていた。茜音に声をかけられていっときは泣きやんだものの、すぐに両手で顔を覆って泣きはじめる。ほっそりとした姿は女の子のようで、泣き声も弱々しかった。
「もう……泣かないって約束でしょ」
「だって、だって……えぐ……」
 少し苛立ちを感じつつも、手を差し伸べた。むかしからこうだ。タクミはあたしが手をつないであげなきゃ、自分でなにひとつできない。茜音は幼なじみの泣き顔を見下ろしながら、またひとつため息をついた。

 茜音と拓海(たくみ)は家が隣同士の幼なじみだ。お互いにひとりっ子だったこともあり、ほとんど姉弟同然に育った。親同士も学生時代からの親友で、家族ぐるみのつきあいがあった。ふたりともはじめて会ったときの記憶はない。ものごころがついたころには茜音がいて、拓海がいた。ふたりはいつもいっしょだった。
 活発で元気いっぱいの茜音とは対照的に、拓海は臆病で泣き虫だった。転んだといっては泣き、つかれたといっては泣く。近所には同年代の子供が数人いたが、拓海は怖がって近づくこともできない。茜音とふたりでなければ公園の砂場にすら入れないありさまだった。
 おいてけぼりにしようものなら大変だ。茜音の姿が見えなくなるだけで、拓海はわんわん泣いた。人見知りがはげしく、両親を除いては茜音以外の誰にもなつこうとしない。
 茜音は幼稚園でも拓海の保護者をつとめなければならなかった。保育士の先生のかわりに常に拓海を見守り、お昼寝の時間には寝かしつけてやった。おねしょやおもらしの後始末さえ、茜音がしてやることもあった。
 それでも拓海はよく泣いた。ほんのいっとき目を離したすきに転んだり、ほかの子にいじわるされたりして、茜音がどんなに注意深く監視していてもかならずどこかで泣き出すのだ。一年を通して、拓海が涙を見せない日はなかった。
「ほら、タクミ、泣かない!」
「はい、泣きやむ!」
 茜音が拓海を泣きやませるのは、もはや日課だった。ふたりの関係を知らない者が見れば、誰もが実の姉弟だと思うだろう。しっかり者の姉に、どうしようもない弟。とても同い年の幼なじみには見えない。
「拓海は茜音ちゃんがいないとダメねえ」
 いつまでも手のかかる拓海に、両親もお手あげだった。どう躾けようとも、拓海は泣き虫のままだ。申し訳ないとは思いながらも、茜音に息子をお願いするほかなかったのだ。
 小学校にあがってからもふたりの関係に変化はない。さすがに姿が見えないだけで泣き出すことはなくなったが、それでも茜音抜きにはクラスメイトと話すこともままならなかった。拓海はいつも茜音の後ろにべったりとくっついている、おまけみたいな存在だった。
 四年生までは同じクラスだったが、五年生のクラス分けにより、ついにふたりは離れ離れになってしまう。つねに庇護されてきた拓海にとって、茜音のいない教室は異国と同じだった。学校に行くことをおびえるようになり、春の終わりにはついに不登校になった。いじめられているというのだ。
 茜音は毎朝、辛抱づよく拓海を迎えに行った。
「休み時間には教室に行ってあげるから、ね?」
「いじめっ子なんか、あたしがやっつけてあげるから」
 しかし度重なる説得にも、拓海はうんと言わなかった。布団にもぐりこんだまま、ベッドの上から降りようともしないのだ。そのくせ構ってもらおうと、布団の間からちらちらと茜音を盗み見るのだった。甘ったれの弟分を嫌いになったりはしないが、茜音はすこし腹を立てていた。
「ごめんねえ、茜音ちゃん。いつもいつも。でも、茜音ちゃんの言うこともきかないんじゃ……。どうしたものかしらねえ……」
 母親も弱りきり、打開策を見出せないでいた。息子はこのままダメになってしまうのではないか。心を痛めているのが幼い茜音にもわかった。
(なによ、タクミ。みんなに甘えて)
 茜音は頭に血を昇らせていた。周囲に心配をかけるだけかけておいて、甘えたいなんてムシが良すぎる。それに拓海を不登校のままにしておけなかった。すこし胸が痛んだが、ベッドから出てこない拓海に決定的な一言を放つ。
「じゃあ、もうタクミなんか知らない。いっしょに遊んであげない。絶交だからね。ばいばい」
 これは効いた。拓海にとっては死刑宣告に近いものがあった。ベッドから飛び降り、パジャマ姿で茜音を追う。玄関の廊下で、拓海は土下座せんばかりの勢いで詫びた。
「あかねちゃん……えぐ……ごめん、なさい。……絶交、なんて、やだよお……」
「じゃあ学校に行く? みんなに心配かけたことあやまる? おばさんにもちゃんと、ごめんなさい、するのよ」
「うぅ……はぁい……」
 泣きじゃくり、必死で謝って許してもらえたものの、拓海は学校に行くことを茜音に誓わされたのだった。
 不登校から通学復帰したといっても、拓海の甘ったれぶりは変わらなかった。むしろひどくなったといっていい。休み時間になると隣にある茜音の教室へと駆けていき、猫のようにからだをすり寄せる。茜音はクラスメイトからいつもからかわれていた。
「なんだか、弟っていうよりペットだよね」
「タクミくん、一生茜音ちゃん離れできないんじゃない?」
 それは茜音も以前からおそれていたことだった。もう五年生にもなるというのに、ひとりでは何もできない。手前まで付き添わなければ、トイレにさえ行けない。乳離れもできない幼児のようで、成長が見られなかった。中学、高校と大人への道を歩んでいかなくてはならないのに、このままでいいんだろうか。
(あたしが甘やかしすぎなのかなあ……)
 母親のような悩みを、茜音はいつも抱えていた。拓海のことは、弟同然に思っている。いつも自分の後ろを仔犬みたいについてきて、天使を思わせる微笑みを見せる。しかもその笑顔は、ほとんど茜音以外に向けられることはない。肉親を除けば、茜音だけのものだった。拓海ににっこり微笑みを向けられると、思わず抱きしめたくなってしまう。
 もちろん、もう少ししっかりして欲しい気持ちはある。ときには厳しく拓海を叱ることもあった。つき放して男らしく鍛えようとしたことも。けれども、泣いたり甘えたりする拓海を見ると、胸がきゅんと締めつけられてしまうのだ。そして、結局は前よりもなお甘やかしてしまう。いけないとは思っていても、茜音は自分を止められなかった。拓海が可愛くてたまらない。
(なんとか、しなきゃ……)
 拓海が甘ったれで泣き虫なのは自分が原因だ。茜音は責任を感じていた。


「タクミ。ほら、ちーん、しなさい」
 拓海の鼻にティッシュをあてる。いつものことだった。泣いた拓海をなだめることにかけては、茜音の右に出る者はいなかった。実の母親ですら遠く及ばない。幼なじみの泣き虫を静めるために、隣の家から呼び出されることもあるくらいだった。
 教室の窓から赤い夕日が射している。しかし拓海の頬が赤いのは西日のせいだけではなく、はげしく泣いたせいだろう。茜音はさらにショートパンツのポケットからティッシュを数枚出して、濡れた睫毛の上にぽんぽんとやさしく押しつけた。涙を拭ってもらっている間、拓海はおとなしくじっとしている。いつの間にか泣きやんでいた。
「で? 今日は誰にいじめられたの?」
 柔らかい頬を両手ではさみ、覗きこむように見つめて茜音が問う。クラスが別々になってから、拓海はいじめの標的になっていた。休み時間には必ずいっしょにいるが、給食の時間や放課後の掃除のときまでは目を光らせることができない。授業中に小突かれることもある。拓海はほぼ毎日泣かされていた。おどおどした態度が気に障るのだろう。その気持ちがわからないでもないと、茜音は思う。拓海は弱々しすぎる。
「う、うん……柴田くんが……」
「またあいつ? 懲りないんだから」
 柴田というのは去年まで茜音とも同じクラスだった、体の大きなやんちゃ坊主だ。大声で威張り散らしたりするので、正義感のつよい茜音とは何度も衝突していた。わがままな性格からか友達はあまりいないようで、ガキ大将というより孤独なアウトローといったタイプだった。
 拓海にたいするいじめやいじわるが、肉体的な暴行にまで及ぶことは少ない。せいぜい小突かれたり、足を軽く蹴られるぐらいだ。けれども、柴田だけは違った。朝の挨拶だと言って「オッス」と拓海の後頭部を思いきり張ったり、歩いているところを後ろから蹴飛ばしたりする。茜音が同じクラスにいたときは控えていたが、べつべつのクラスになってからというもの、拓海にたいする攻撃はひどくなる一方だった。
「明日、三倍にして返してあげるからね」
 あどけない少女のものとは思えない、物騒な台詞を茜音は口にした。黒い瞳に燃えるような闘争心が宿っている。
 幼稚園にあがる前から、茜音は腕力でもって拓海を守ってきた。それは五年生になったいまも変わらない。拓海がいじめられると、茜音はその相手をこっぴどくいじめ返した。まだ男女の身体能力差がほとんどない年ごろである。運動神経抜群で気もつよい茜音に敵はいない。拓海をいじめた男子は、もれなく手痛いお返しを頂戴していた。
 乱暴な柴田も例外ではない。ケンカ自慢で男子相手には無敵な彼だったが、茜音にはなすすべもなく敗れ去った。顔面に蹴りを入れられた回数は本人も覚えていないだろう。
「見てなさい、柴田……」
 姉貴分の口もとが不敵に歪むのを見て、拓海は少しだけ顔を青くしていた。平和主義者である拓海は、仕返しなど望んではいない。けれども言い出せるものではなかった。以前、「暴力はよくないよ……」と小さくつぶやいただけで、さんざん叱られたことがあったのだ。
「そんなだからなめられるのよ、拓海!」
「くやしくないの? 男の子なら、なぐりかえしなさい!」
 そのときの茜音の剣幕は凄まじく、拓海は思い返すだけで身震いがした。
「それで、どこを叩かれたの?」
 おさげ髪の少女の声は穏やかなものに戻っていた。拓海を見下ろす大きな瞳がやさしい。かわいい弟分を心配しているのだ。両手ではさまれている頬が、さらに赤く染まった。
「お、おなか……」
「おなか? おなかを蹴られたの?」
「う、うん……」
 茜音は頬を押さえていた手を離し、拓海の長袖シャツに視線を落とした。
「靴のあともついてないけど……ほら、見せてごらん」
 小さな手が、長袖シャツのすそをめくりあげる。あばら骨の浮いた細身のからだが、夕焼けに照らされた。
「なんともなってないじゃない? 本当に蹴られたの?」
 柴田は暴君といっていいほどの暴れん坊だ。挨拶がわりにクラスメイトを叩くが、手かげんというものを知らない。腹部を蹴られて、肌に赤みすら残っていないとは考えられなかった。
「も、もっと、下のほう、だもん……」
「そうなの?」
 茜音はためらうことなくベルトを外し、拓海のズボンを下げていく。トランクスが見えてもまったく気にしなかった。
「どこにも蹴られたとあとなんか、ないよ? 本当に柴田にやられたの?」
 拓海は答えるかわりに茜音にもたれかかった。服の上からではあるが、ふくらみはじめた胸に頬をすり寄せる。
「あっ……こら……」
 叱りつける声には力がない。頬をこすりつける拓海の顔はうっとりしていて、とても幸せそうだ。
「あかねちゃん、あったかい……」
 まどろみのなかにいるかのような声を出し、ますます胸に顔を押しつけてくる。茜音は胸の高鳴りを抑えられない。拓海に悟られないかとどきどきしていた。
 拓海の手が動いた。遠慮がちに茜音の手首をつかむ。握る力までもが弱々しかった。いつも自分を引っぱってくれる手を、おそるおそるトランクスの前へと導く。
「タクミ……?」
 拒絶されるのを恐れているのだろう。拓海は目を合わそうとせず、顔をふくらみの小さな谷間に埋める。白い手の甲が、トランクスの前に当てられていた。
「タクミ……蹴られたの、ほんとうはおなかじゃないんでしょ」
 怒気を含んだ茜音の声に、少年のからだがこわばる。おそるおそる見上げると、目を三角にした茜音が睨みつけていた。突き刺さる視線におびえ、反射的にふるふると首を横に振ったが弁解はできなかった。いいわけなどしようものなら、どれほど怒られるかわからない。
「うそをついちゃいけないって、あれほど言ったでしょ!」
 頬を両手でつねられ、引っぱられる。軟弱な少年の瞳に、たちまち涙が浮いた。
「ごめんなさい、ごめんなさい、いだい、よお……」
 拓海は甘える口実に、小さな嘘をつくことがある。そのたびにつよく叱りつけるのだが、なかなか改めようとはしない。幼いころから変わらない悪癖だった。
「まったく、もう! どうしてそんなうそ、ついたの?」
 ふたたび両手で頬を包む。口調がいくぶんか和らいでいた。
「……ごほうびが、ほしくて……」
 黒い瞳をうるうるさせて見上げる拓海。茜音は、自分の頬が熱くなっていくのを感じていた。拓海に気づかれたくない。夕焼けの色でごまかせていますように、と心のなかで願った。
「ご褒美って……。約束、守れてないじゃない」
 わざと意地悪そうな顔をつくって見下ろす。拓海が甘えはじめたらきりがない。けじめをつけておく必要があった。ついつい甘やかしてしまう自分自身のためにも。
「だって、だって……」
 すこし突き放した言い方をするだけで、柔らかそうな頬に涙が伝っていく。それでも拓海の大きな瞳はまっすぐに少女を見つめていた。幼なじみが自分の涙に弱いことを知り尽くしているのだ。
「ああ、もう……泣きやみなさい!」
 茜音は弟分の涙に抗うことができない。にらめっこに負けた子供みたいに顔を逸らし、拓海を胸に引き寄せて抱きしめた。いけないとは思っていても、甘えてくる弟分が可愛くてしかたない。潤んだ瞳で見つめられると、どんなことでも許してしまいそうになる。たとえその涙が演技で、打算的なものであったとしても。
 小さな約束。それは夏休が終わって間もなく交わされたものだ。今日と同じく、放課後のこの教室で。「茜音の前以外では泣かない」という誓い。守られたことがない約束。にもかかわらず、約束を守られたときだけの「ご褒美」を、茜音はたびたび与えてしまっていた。
「とくべつ……なんだからね?」
 からだの小さな拓海の背を抱きかかえると、茜音はもう片ほうの手のひらをトランクスの上に乗せた。そこは小さく膨らんでいた。キャラクターがプリントされた薄い布ごしに、体温が伝わってくる。かたちを確かめるようにさすると、少年の太ももががぴくぴくとふるえた。
「はう……あかねちゃん……」
 拓海は切なそうに目を細めて身悶えている。濡れた瞳はきらきらと輝き、熱い吐息をこぼしている唇は柔らかそうだった。
(もう。女の子みたいな顔して……)
 温かい股間の上を弄りながら、少女の小さな胸はときめいていた。拓海はクラスでいちばん小さく、男の子とは思えないほど華奢な骨格をしている。茜音の前以外では口を開くことさえほとんどないが、か細い声はソプラノ歌手みたいに透き通っていた。睫毛が長く、繊細な顔のつくりをしているので、女の子だと勘違いされることも多い。弱々しい態度があいまって、薄幸の美少女という印象を与えるのだ。
(ほんとに、女の子みたい。あたしが男の子だったら、ぜったいキスしたくなっちゃう)
 男の子だったら、という前提をつけているくせに、甘い吐息を漏らしている唇から目が離せない。半開きの小さな唇は、茜音を誘っていた。幼なじみの甘いキスを、待ち焦がれていた。
「んっ……」
 茜音は自分を抑えなかった。少年の頭を片手に抱えると、覆いかぶさるように唇を塞ぐ。
「んちゅ……ちゅっ……」
 子供どうしとは思えない、はげしい口づけを交わしつつ、茜音はトランクスのなかへと手を進める。指先が肌の上を這いまわると、抱えられた拓海の眉が小刻みに揺れた。
(タクミ……ぴくぴく、してる。きもち、いいのかな)
「んぷうっ……!」
 重ねられていた口が放され、拓海は目の前の胸に顔を埋めた。下着のなかではまだ未熟な男性器が少女の手に握られている。少年の手が、しがみつくようにして茜音の両腕をつかむ。細い指が肌に喰いこんでいた。
「きもち、いいの? タクミ……」
 胸に顔をなすりつけたまま、拓海が何度もうなずく。Tシャツに深くもぐりこんだ鼻が、くんくんと愛しい少女の匂いを求めていた。今度は茜音が身もだえする番だった。
「あ、あんっ……タクミの、あまえんぼ」
 手のひらが熱い。トランクスのなかは蒸すほどに熱かった。茜音の手の内で、小さいながらも勃起したペニスが憤っている。先端から温かく粘った液体が溢れ、布地にわずかな染みをつくっていた。
(あ……ぬるぬる、出てる……)
 少女の手がパンツの端にかかり、するすると膝まで降ろしていく。拓海の股間が夕日に照らされる。まだ陰毛の生えるきざしすら見られなかった。茜音の人差し指ほどしかない幼い勃起が、それでも元気に上を向いている。亀頭のほとんどは包皮に覆われ、鈴口を囲む皮の窪みに透明な先走りが溜まっていた。
「もうこんなに、おもらししたの? タクミ……」
 指で包皮の溝をつつくと、華奢なからだが小さく跳ねる。粘液が爪の周りにまで付着したが、茜音は気にしなかった。拓海の反応を面白がって、くりくりと包皮の境い目を弄ぶ。ひとさし指と亀頭が、細い糸でつながっていた。
「あうう……あかねちゃん……」
 拓海は少女の薄い胸にますます顔を押しつけた。表情を見られるのが恥ずかしいのだろう。茜音はそう思っていたが、別の理由からだった。細枝のような腕が遠慮がちに伸び、Tシャツの裾をめくろうとしている。
「なに? ……おっぱい、吸いたいの?」
「う、うん……吸いたい」
 前髪の隙間から、すがるような瞳が覗いている。頬っぺたが叩かれたあとみたいに熱い。きっと真っ赤になってしまっている。胸のどきどきが止まらない。流されていくのを自覚しつつも、茜音は女の子みたいに愛くるしい弟分のおねだりを断れなかった。
「もう、と、とくべつ、なんだからね……」
 特別、特別、と口にはするが、自分への言い訳にすぎなかった。望まれればもっと先まで受け容れてしまいそうだ。お子様の拓海に性知識が備わっていれば、だが。勃起したペニスをつまみながら、茜音はあどけない顔をした幼なじみに魅入られ、熱に浮かされたようにぼうっとなっていた。
 茜音は自分からTシャツをまくりあげた。スポーツブラすらつけておらず、かすかなふくらみの幼い乳房が、少年の目の前に晒される。薄桃色の乳首がわずかに尖っていた。
「あかねちゃんの、おっぱい……」
 澄んだ瞳を輝かせて、拓海が小さなサクランボに吸いつく。もちろんミルクは出ないが、嬉しそうに唇を尖らせてちゅうちゅうとすする姿は赤ん坊そのものに見えた。
「んっ……」
 成長期の胸乳は敏感だ。強く吸われ、ぴりぴりとした痛みを感じていた。けれどもべったりと自分に甘え、慕ってくるかわいい幼なじみに乳を与えることに、茜音は幸せを感じている。わずかな苦痛に耐えても、拓海を喜ばせてあげたかった。
(いいよ、タクミ。もっと、ちゅうちゅう、して……!)
 拓海は吸うだけではなかった。舌を出して薄桃色の突起をちろちろと舐めあげる。教えたわけではないのだが、自然と乳首を愛撫するかたちになっていた。茜音が苦痛を感じていたことを悟っているのかもしれない。ぞくぞくとした快感が、少女の背中を駆ける。
「あ、あう、ん……」
 思わず悩ましい声を出してしまい、茜音はあわてて口を押さえた。気まずそうに見下ろすと、小さなふくらみに夢中になっていた口が離れている。哀れみを誘う潤んだ瞳と視線が合った。
「おちんちん、してほしい……」
 少年の声はか細く、最後のほうはほとんど聞き取れなかった。目は真っ直ぐに茜音を見つめているものの、もじもじと太ももをこすりあわせている。
「あっ……ご、ごめんね」
 幼い性器への愛撫をすっかり忘れていた。切なそうに見つめられると、悪いことをしたような気になってしまう。茜音は思わず謝り、皮を被ったペニスを握りなおした。
「おちんちん、むいてあげるからね、タクミ……」
 握る、というよりつまむといっほうが正しい。少女のけして大きくはない手にも、すっぽり収まってしまう大きさなのだから。
「痛かったら、ちゃんと、いうんだよ?」
 三本の指を使って亀頭を覆う包皮をつかみ、下へと引っぱる。ゆっくりと皮がめくられ、ピンク色の中身が露わになっていく。拓海の顔を見ると、深く目を閉じていた。眉間が小刻みにふるえている。
(あっ……タクミ、おちんちん、痛いの?)
 敏感な部分だ。さっき自分が乳首を吸われたときと同じく、痛みを感じているのかもしれない。茜音は「痛かったら言いなさい」と、あらかじめ告げておいたことも忘れていた。
「あむ……」
 ペニスから手を放し、指先を自分の口に咥える。尿道から垂れた先走りが付着していて臭ったが、茜音は気にしなかった。不快な表情を見せるとごろか、うっとりと目を細め、味わうようにあむあむとしゃぶりついた。
(ん……タクミの、匂い……)
 黒い瞳が湿りを帯びていた。陶然となりかけていたが、幼なじみの視線に気づいて我を取り戻す。物欲しそうな目で、茜音を見上げていた。
(あ、いけない……)
 あわててくちびるの間から指を抜く。たっぷり唾液をまぶされた指の腹で、幼い勃起を撫でまわした。
「はあっ……いいっ、あかねちゃん……」
 高い声があがり、脚のつけ根が小さく痙攣する。包皮と中身の境い目を指先で何週もなぞると、先端からぷっくりと新たな透明な露が浮いた。人差し指が鈴口に伸びて、先走りをも亀頭に広げる。充分に湿ったところで、茜音はふたたび亀頭を包む皮をつまんだ。潤滑油は充分だった。
「ほら、タクミ。見て……おちんちん、むきむきしちゃうからね……」
 拓海の顔とペニスを交互に見つめる、おさげの少女の顔が赤い。熱い吐息が少年の頬にも降りかかっていた。
 包皮が根もとへと引き降ろされていく。もうほとんど抵抗はなかった。つるりと剥けて、ピンクの亀頭が姿をあらわす。
 幼い勃起の先端は小さめで、いかにも頼りなげだった。慣れない外の世界に放り出されて、震えているように見える。茜音は幼なじみの股間に顔を埋めて、口で慰めてあげたいという衝動に駆られ、喉を鳴らした。
(だっ、だめ……。そこまでしちゃ、絶対だめ……)
 いつの時代も女の子のほうが早熟だ。フェラチオという行為を、茜音はティーン向けの雑誌から得ていた。同級生の女の子たちは、「信じられない」「きたないよ」「おしっこ臭そう」「ぜったい男子のなんかなめられないよね」と赤面していたが、茜音は拓海にならしてあげてもいいと思っていた。おしっこ臭くても、拓海のおちんちんなら舐めてあげてもいい。おしゃぶりしたいと思った。かわいい拓海が喜んでくれるなら……。
 ただし、それはまだ先のことだ。もう少し大人になって、ふたりがちゃんと恋人どうしになってからだ。拓海にならからだを許すだけでなく、どんなことでもしてあげたい。そのためには、もっとしっかりしてもらわなければならなかった。泣き虫のままでは困るのだ。茜音を守れるくらい、強くなってほしかった。
(そうなったら、なんだってしてあげるんだからね、タクミ)
 茜音は顔を紅潮させたまま、指を上下に動かした。剥けて間もない未発達のペニスは敏感だ。直接指で触れると快感より痛みのほうが強い。皮を指先につまみ、剥いたり戻したりすることで刺激してやる。
「はあ、はあ……」
 何度か繰り返すと、拓海が息が乱れはじめた。少女の背に腕をまわして抱きつくと、Tシャツをまくりあげた胸にぴっとりと頬をつける。細めた目がうつろだった。
(きもち、いいんだね、タクミ……)
 幼い勃起を、包皮を用いてやさしくこすりあげる。にちゃにちゃと、水音が混じった音がした。亀頭の小さな裂け目から、粘った汁がだらだらとこぼれている。
 息が荒いのは茜音も同じだった。胸の鼓動ははげしく頭のなかにまで鳴り響き、ショートパンツの奥がきゅんとうずいている。しごいているペニスに負けないくらい、ショーツのなかで淫らな蜜を漏らしているかもしれなかった。
(やだ……さわっても、いないのに……)
 小さなふくらみの谷間に温かい吐息がかかり、細かな水滴をいくつも残した。いつの間にか唇が乳房に押しつけられている。拓海の呼吸が、直に肌へと伝わってくる。
(あ、いい。タクミっ……)
 知らず幼い肉茎をこする指がはやくなった。開いた手で自分の胸へと、少年の頭をつよく抱き寄せる。もっと密着していたかった。
「ふああっ……はあっ、はあっ……」
 余分な肉ひとつない太ももが、張りつめてぴーんと伸びる。包皮でしごきあげられた勃起が、茜音の手のなかで大きさを増していた。
「出そう、なの? タクミ。どくどくって、しちゃいそう?」
「うんっ、うんっ……! あかねちゃあんっ……!」
 拓海がしがみついてくる。泣きそうな声だった。茜音はやけどしそうなほど熱いペニスを、はげしくこすりつづけた。ぬちゃぬちゃと、水音がいやらしく響く。
 気持ちよく射精させてあげたい。自分の手で歓喜の声をあげてもらいたい。茜音は愛しい幼なじみを潤んだ瞳で見つめながら、その手で絶頂へと導いていく。
「いいよ、タクミっ……いっぱい、どくどく、してっ……!」
「うああっ、ああーっ……!」
 少年の全身ががくがくと震えた。茜音の手のなかで、熱い勃起が大きく脈打つ。亀頭の先端から、白濁の液体が噴出する。
「ああんっ……!」
 どくっ、どくっ、どくっ……!
 憤ったようにはげしい収縮を繰り返すペニスは、少女の手のなかで暴れまわる。鈴口から吐き出される精液は火山の噴火に似ていた。幾度も脈打ったために量が多く、勢いも強かった。大量の体液が、ぱらぱらとふたりのからだに降りかかる。
「はあーっ、はあーっ……」
 拓海は幼なじみの薄いふくらみに頭をあずけ、荒い息を吐いていた。細い腕から力は抜けず、コアラみたいにぎゅうっと抱きついたままだ。目尻にうっすらと涙が浮いている。
「すごい……こんなにいっぱい、出た……」
 おさげ髪の少女は、自分の手に視線を向けている。さきほどまでパンパンに張りつめた肉茎をしごいていた指には、粘りの濃い白濁液にまみれていた。
 手だけではない。降り注いだ精液は、茜音のさらさらした前髪をも汚している。尿道から勢いよく噴出された白濁はすべすべの頬に直撃し、べっとりと粘液の白い水溜りを残した。いまは顎のほうまでとろとろと垂れている。
 生臭いはずなのに、茜音はちっとも嫌ではなかった。進んでかけてもらいたいとまでは思わないが、拓海の精液なら浴びても平気だった。いつもそうしているように、指についた体液を一口、ぺろりと舐める。
「ん……濃い……」
 けして美味しいものではないが、なぜかいつも味を確かめてしまう。クラスメイトたちは精液なんて汚いと騒ぐが、全然そんなことは思わない。もちろん、拓海の精液以外は触るどころか目にしたくもなかったが。
「あかねちゃん……ん、ちゅ……」
 ようやく息を整えたらしい拓海が、甘えて乳首を咥える。ミルクを飲んでいる赤ん坊のように、満ち足りた表情だった。
「落ち着いた? タクミ」
 抱えたほうの手で髪を撫でながら、やさしい声をかける。乳を吸う口は離されなかったが、小さく頷いたのが肌に伝わってきた。こうしていると本当に赤ちゃんみたいだ。いつまでもこうしておっぱいを与えていたい。けれどもそうもしていられないことを、茜音は窓の外を見て悟っていた。
 日がほとんど沈みかけていた。教室に入るオレンジ色の光も消えかけ、外はすでに薄暗い。
「タクミ。ほら、もう暗いから……」
 口を離した拓海は、いかにも名残惜しそうだった。茜音も同じ思いだったし、状況が許すならもう一度抱きしめて熱い口づけを交わしたかった。でも、もう時間がない。あまり遅いと過保護な拓海の母親にいらぬ心配をかけてしまう。キスしてしまうとそれだけでは終わらないかもしれないのだ。
「ほら、おちんちん、拭いてあげるから。……足りるかな。いっぱい出しちゃったから……」
 ポケットから取り出したティッシュで、すっかり縮んで包皮のなかに収まった小さなペニスを拭う。くすぐったいのか、拓海が腰を引いて逃れようとする。
「もう、逃げちゃだめ」
 思わず少女の顔に笑みがこぼれる。少しいじめたくなった茜音は、幼い陰茎を弄ぼうと手を伸ばす。
「あうう、だ、だめだよう……」
 夕闇が迫る教室に、ふたりのじゃれあう影が伸びていた。



(タクミ、いつになったら泣かなくなるのかな……)
 ベッドのなかでまぶたを重くしながら、茜音は頭を悩ませていた。照明を小さくした部屋で思い浮かぶのは、やはり拓海のことだ。いつだって情けない幼なじみのことが頭から離れない。
(やっぱり、甘やかしすぎ、なんだよね)
 わかってはいても、ついついわがままをきいてしまう。拓海の甘えきった猫なで声は、茜音にとって麻薬に近いものがあった。ひとしきり泣いたあとに見せるはにかみ混じりの笑顔は、どんな恋愛ドラマや少女向けコミックよりも少女の胸をときめかせた。
 うじうじした態度に苛立つこともあるが、泣きべそをかく仕種すら魅力のひとつだった。拓海のすべてがいとおしい。女の子のような外見も、甘えてくるのが自分だけというのもたまらなかった。
 馬鹿な子ほどかわいいという。母親が我が子を愛するのに似た感情を、茜音は抱いている。過保護はよくないとわかっていても、思いきり甘えさせてあげたいという気持ちを抑えられなかった。
 しかし、茜音はやりすぎた。保護者代わりとしても、幼なじみとしても、一線を越えてしまったのだから。
 きっかけは一ヶ月前。約束を交わした日だった。


「ほら、タクミ、もう泣きやみなさい」
 放課後。茜音が迎えに行くと、いつものように拓海は教室で泣いていた。また意地悪されたのだろう。涙を拭ってやりつつ慰めたが、その日はなかなか泣きやもうとしない。ぐすぐすと、しゃくりあげながら肩を震わせるばかりだ。茜音はだんだん腹が立ってきて、つい頭を平手で叩いてしまった。
「いいかげんにしなさい!」
 それがいけなかった。泣く子に火をつけてしまい、さらにわあわあと声をあげて泣きはじめる。
「あ、あ、ごめんね、ごめんね、タクミ……」
 あわてて謝ったが、もう手がつけられない。拓海がこうなると、そこらの赤子の夜泣きよりやっかいだった。なにしろ母親でさえもてあまし、あきらめて放置してしまうことがあるくらいなのだ。
 どんなに機嫌をとろうとしても効果がなかった。なだめてもすかしても静めることができない。茜音のほうが泣きたくなった。
「お願いだから、泣きやんでよお……」
 他にできることがなくなって、ぎゅっと胸に抱く。拓海はいやいやをするようにかぶりを振った。駄々をこねているのだ。押しつけられたまま首を振ったせいで、Tシャツがまくれあがり、未発達の乳房が露わになる。
「あ……」
 泣きわめいていた拓海の動きが止まる。愛しい幼なじみのわずかにふくらんだ胸に、目を奪われていたのだ。まじまじと見つめられた茜音は、いけないと思いながらも、口に出していた。
「ん……吸っていいよ、おっぱい……」
 小学校にあがる前、ふざけて乳首を吸わせたことがあった。それを思い出してのことだったが、さすがに五年生ともなれば悪ふざけにすぎる。ティーン向けの雑誌や、友達との会話から性知識を得ていた茜音には後ろめたい気持ちがあった。
 しかし、お子様な拓海にはそんなものはない。甘えたいだけだ。喜んで少女の胸に口をつけた。ただし、身体は別だった。頭に知識はなくても、精神は成長していなくても、肉体は男として育っていた。小柄で泣き虫の拓海も、ちゃんと大人への道を歩んでいたのだ。夢中で乳首を吸う少年のズボンの前が張っていた。
(あたしのおっぱい吸って、おちんちん……大きくしてるの?)
 いけない。そこまでしてしまったら、冗談ではすまなくなる。そう思いながらも、茜音は自分を止めることができない。なにかに憑かれたように、夢中で拓海のズボンを脱がせ、パンツを降ろし、幼い陰茎をしごいていた。
 拓海は誰よりも好きな幼なじみの手で、精通を迎えた。生まれてはじめての射精は、彼にとって衝撃だった。包皮を剥かれるときにはわずかな痛みを感じたが、その後にはとろけるような快感が待っていた。
「い、今の、なに? すごく、きもちよかった……」
 上ずった声で問いかける拓海に、茜音は何も答えられない。
(あ、あたし、何てことしちゃったんだろう)
 何も知らない幼なじみの性器をこすり、射精までさせてしまった。きっとまだ拓海には早すぎたのだろうと思う。少女の幼い胸が罪悪感に痛む。
「また……してくれる……?」
 おずおずと、しかし期待に満ちた瞳で拓海が胸にもたれてくる。断らなきゃ。そう思ったが拒むことはできなかった。すりすりと小さな胸に頬を寄せる拓海が、かわいくてたまらない。ずるずると流されそうだ。うなずいてしまいそうになったとき、頭に浮かんだのが「約束」ということばだった。
「じゃあ、約束。あたしの前ではいいけど、他の人の前で泣かないこと。守れたら、ご褒美にまたしてあげる」
 深く考えなかったのだろう。拓海は無謀ともいえる指きりを交わす。少年の目はただ次の「ご褒美」を求めて、らんらんと輝いているだけだった。
 案の定、約束が守られることはなかった。拓海は変わらず泣き虫のままで、頬を濡らすのをやめなかった。守られたのは「ご褒美」の内容が他の人には秘密だということだけ。
 それでも拓海は「ご褒美」を欲しがり、ねだった。「約束、守られてないでしょ」と叱られても、うじうじと泣き言をいいながら甘えるだけだ。茜音もしまいにはわがままをきいてしまう。ふところ深くに飛びこまれ、潤んだ瞳でおねだりされると、拒みつづけることができなかった。
 茜音自身も望んでいるところがあった。自分の手によって、拓海は性の悦びを感じている。女の子にしか見えない愛らしい顔を紅潮させて、からだをよじってあえぐのだ。小さな胸だけでなく、未熟な子宮までもが切なくうずく。茜音は高鳴る胸と興奮を認めていた。もっと拓海を感じさせたい。
 さすがに毎日ではなかったが、三日に一度は茜音の手で射精させている。だんだん慣れてきたのか、ペニスを包む皮も剥けやすくなっていた。
 「約束」は果たされていない。求められるままに「ご褒美」だけを与える日々が続いていた。流されていることに気づいていても、茜音は自分を抑えることができなかった。


(タクミ……今日もいっぱい射精、した……)
 思い出すとからだが熱くなる。知らず、指がパジャマの下衣のなかにもぐりこんでいた。ショーツのクロッチが湿っている。
(あ……替えたばかり、なのに……)
 お気に入りの水玉ショーツは、お風呂あがりにはき替えたものだった。このままでは明日の朝、また替えなければならない。それでも指は止まらず、下着の奥へと進んでいく。
「んっ……」
 ぬるぬるとした温かい液体が、割れた柔肉から溢れている。濡れた割れ目をなぞるように指先が動いた。
(タクミの精液……もっと熱かった。やけどしちゃいそうなくらい……タクミの、おちんちんの、ミルク……)
 もう片ほうの手が、半開きのくちびるへと向かう。しなやかな中指が口のなかに挿しこまれた。
「ん、ちゅ……ちゅぷっ……」
 指が柔らかなくちびるの間を抜き挿しする。夢中で吸いつく様は、授乳する赤子に似ていた。
(おちんちん、吸ってあげたい……! タクミのミルク、いっぱい出させてあげたい……)
 ショーツのなかはすっかり熱くなっていた。小さな尖りをくりくりとつまみ、こすりあげる。とろとろと淫らな蜜が漏れ、股布に染みが広がっていく。ベッドの中で、茜音の息がはげしくなっていた。
(ここにも……入れさせてあげたいの……)
 閉じた割れ目を指先で分けていく。小さな入り口の周りを撫でる。まだ何者の侵入も許したことのない膣口は、甘酸っぱい香りのする愛液に濡れていた。
「あ、あふ、んん……」
 茜音は指を奥まで入れることを恐れていた。愛しい幼なじみに捧げる日のために、純潔の証である処女膜を傷つけたくなかったのだ。
(タクミ……ここに、おちんちん……入れて! 痛くして、いいから……)
 貧弱な裸体の幼なじみが覆いかぶさってくるところを想像する。泣きそうな顔をした拓海が、それでも気持ち良さそうに腰を押しつけてくる。からだの小さな少年は、茜音の胸に顔を埋めて、あえぎ声を何度も漏らすのだ。
(出ちゃう……? タクミ、射精しちゃうの? いいよ。茜音の……おまんこに、いっぱい、どくどくって、して、いいよっ……!)
「はんんっ……!」
 勃起した突起をこする指が、太ももに挟まれる。からだを小さく縮めた少女のからだが、びくびくとふるえた。声を殺しながら、茜音は絶頂を迎えていた。
「はあぁ……」
 布団にくるまり、大きく息を吐く。濡れた下着のなかを始末しなければならないが、しばらく動きたくかった。
(あたし、本当はどうしたいんだろう)
 妄想のなかの拓海は、やっぱり情けない幼なじみのままだった。泣き虫のままだった。泣かなくなり、男らしい拓海など、想像できない。
(拓海に今のままでいてもらいたいのかな……)
 だから「約束」が守られなくても、「ご褒美」をあげてしまうのだろうか。茜音は、自分がわからなかった。


テーマ:18禁・官能小説 - ジャンル:アダルト

  1. 2010/06/06(日) 06:06:06|
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Author:臥頭狂一
(がとうきょういち)
 日々、頭痛に悩まされながら官能小説を書いています。
 いろいろなジャンルに手を出していくつもりです。よろしければ読んでいってください。
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